2025年9月28日日曜日

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ(2)

 はぐれ刑事知床へ行く



前回からの続きです。

前回はNEC-PC-6001・8801・9801~MSX等の初期バージョン(※便宜上「旧シナリオ」と表記)について、語ってゆきました。

今回は、ファミコン以後の(※便宜上)「後期シナリオ版」、そして、令和の時代にまさかの最新作(!?)「〜追憶の流氷・涙のニポポ人形〜」(※便宜上)「新シナリオ版」について語ってゆきましょう。

ファミコン版(後期シナリオ版)

満を持して移植されたFC版ですが、正直、知床五湖の事件までのストーリーは大体一緒です。
(途中で真紀子さんの友達、「めぐみ」さんが摩周湖に登場しますが、彼女は殆ど事件とは関係ありません。)

旧シナリオでは、唐突に真犯人が登場し、事件に幕が下ろされた感がありました。

原作者の堀井さんもその辺りが気になっていたようで、より多くの人間が遊ぶ事になるであろうファミコン版の移植にあたり、多くの改良を行いました。
BGMの採用。ミニゲーム。登場人物の追加。
グラフィックは、当時「Login」誌、「ファミコン通信」誌で4コママンガの連載、及び挿絵イラストを担当していた、「荒井清和氏」による原画の採用。
シナリオ・真犯人の変更。などなど。
特にシナリオについては、ちょっと動機的に弱いな・・・と、思ってた部分を補強し、よりドラマチックな内容に昇華することに成功している。


「晴海埠頭」の画面。今回から「たかのさん」の一枚絵は無くなり、振り返るのみとなった。
グラフィックは「荒井さん」テイストは抑え気味で、88版に準拠した感じとなっている。



私自身は、当初、ファミコン版の画像に少々抵抗があったのも事実。

荒井さんの絵は、Login誌の「べーしっ君」等で大好きだったんですけど、PC-88・98系のハードボイルドなグラフィックを只でさえ、それが不得意なファミコンで表現出来るのか?・・・と。

しかし、実際、最後までプレイしてみると、荒井さんの努力も感じられ、これもアリって納得出来ましたね。

LOGIN DISK&BOOKシリーズ

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ(後期シナリオ版)

賢明な方はお気づきと思いますが、PC-98で2回目の発売となります。

いわゆる「リメイク」という事になりますか。

かつて、アスキー出版より、「LoginDisk&Book」シリーズとして、「JBハロルドシリーズ」とか、「藤堂龍之介探偵日記シリーズ」を、書店にてお手ごろ価格で販売していたものの一つとなります。

「LoginDisk&Book」シリーズ
ハードカバーの本にゲームの
説明、ディスクが入っていた。

見る限りでは、以前(88・98版)の写実的な表現と、漢字交じりのメッセージに加え、後期シナリオという、秘かに「ファン待望のもの」・・・と、一見思われる方もおられるでしょう。

と・こ・ろ・が。


不思議なのですが、ここまで作り込まれているのに何故かBGMが2曲(オープニング含む)しか収録されていないのだ。


ファミコン版が多くのBGMを使用して、各シーンの雰囲気を盛り上げる事に成功しているのに対し、こちらは、どんなシーンでも、底抜けに明るいBGMが延々流れる異常な世界。(※但し、流石に「殺人現場」には流れない。オープニングBGMが流れ、その後無音。)


また、操作感もちょいと問題が・・・。何気にマウスが使いにくい。
じゃぁ、キーボードはというと、何故かジョイスティックに対応していないのに、ファミコンと同じ、上下でカーソルを合わせて選択する方法。パソコンはテンキーもしくは数字キーがあるのだから、初代と同じ方式で良かったのだが・・・。
残念さばかりが目立つ一本だった。


北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
~追憶の流氷・涙のニポポ人形~ (新シナリオ版)


さて、今回、この記事を書くに到った理由の一つが、こちらのゲームの登場です。
最初のバージョンの発売より、40年。
ファミコン版の発売より、37年。
何と、2024年にストーリーを補完し、更に発展させたタイトルが発売されたのです!
しかも、シナリオは堀井さんの作。

まさか、こんな日が本当に来るとは・・・。

ストーリー

時は2024年。
37年前に「オホーツク連鎖殺人事件」と名付けられた事件を担当、解決に導いた(ボス=主人公)も定年を迎え、警視庁へ私物の整理に通うのみであった。

そこへ一人の女性が話しかけて来た。


その女性の姿に、ボスの脳裏にかつての甘酸っぱい記憶が去来する。

「猿渡まりな」と、名乗った女性。
やはり、彼女は猿渡俊介と野村真紀子の間に誕生した娘であった。


彼女により「父・俊介が、事件に巻き込まれ倒れた事」そして、それに「37年前の事件」が関係あるらしい事が語られる。

かつてのバディ、「シュン」のピンチに、主人公は取るものも取り敢えず、まりなと共に新幹線に乗り北海道・釧路を目指すのだった。


そして、向かう道すがら彼女に聞かせるのだった。

37年前の「オホーツク連鎖殺人事件」の全貌を!


以前、予告した通り、ゲームはSteam版を購入しました。

流石に約40年「後」のゲーム。
当時の物と比較してエフェクト・音楽・操作感のブラッシュアップが凄いです。


よく、SwitchやSteam等で昔のドット風に味付けされたオホーツクっぽいゲームを見ることがありますが、こちらは、それに対して、「本物の「オホーツク」はこうなんだ!」と、スタッフの思いが伝わって来るようで。
各シーンで、それがピッタリ来ていて、「ああ、「オホーツク」って、こうだよな・・・。」と、しみじみ思ってしまったり。


ゲームに於ける「前作」の部分が終了した辺りで、電車は釧路へと到着する。

・・・と、いう感じで「新作パート」へ入ります。

釧路の警察病院で意識不明の「シュン」と再会。
そして、傍らで彼を見守る真紀子さんの姿に、事件の解明を密かに誓うのでした。

そう、ボスはもう「警官」ではないのです。

今回バディとなる「まりな」も、やる気は十分ですが普通の大学生です。

果たして彼らは、「真実」にたどり着けるのか?
「○○□□□」は、何故「無○懲○囚」となったのか?
そして、彼ら(!)の想いとは!?

・・・
・・


・・・で、クリアいたしました。
感想は「感無量」の一言です。

人によるかもですが、私自身丁度わだかまっていた部分なんで、ようやく喉の奥に引っかかっていたものが取れた様な感じです。
ボリューム的には「前作」くらいなものが、もう一本入っている感じでしょうか。

※このシーン実は超レア?

何気に楽しい地図と観光情報。随時更新してくれます。

非常に役に立つ人物相関図。随時更新!
解りやすい!

オマケも充実!

「由美かおる」さんの様な美魔女ですな!
忘れてはいけません。勿論今回も!


特にファミコン版が好きだった方、いえ、全「オホーツク」ファンにお勧めの1本です。
こちら「Switch」もしくは、「Steam」でプレイ可能です!

・・・ああ、面白かった!

PS.堀井先生!出来ましたら、「白夜に消えた目撃者」このメンバーで是非お願いします!

2025年9月27日土曜日

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ(1)

新作(?)発売一周年記念 機種別比較



・・・と言っても、約一年前にリリース(2024年9月12日発売)されていたのワタシが知らなかっただけなんですけどね・・・。

そう「黄金の羅針盤」のレヴューをする際に、ジーモードアーカイブスのチェックをしていたのです。
そうすると、1年前にリリースされていたのを、現在(2025年9月)、発見したのですねぇ。(恥)

レトロゲームばかりプレイするのもいい加減にしろという感じですが、まあ、スキなのでしょうがない。

そこで今回は、発売一周年記念としてSteam版を購入し、レヴューすると共に、これまでのバージョンについても語ってゆきたいと思います。

では、始めましょう!

ストーリー

東京湾、晴海埠頭にて発見された男性の死体は、身元を調査した結果、北海道の出身者であった。
躊躇無く胸に撃ち込まれた「弾丸」と雑に海に投げ捨てられた遺体。
事件の背後に「反社勢力」の関わりを感じた主人公(ボス)は北海道へと渡る。
釧路署の刑事、「猿渡俊介」と共に捜査を始めた主人公。だが、それを嘲笑うが如く第二、第三の殺人事件が起こる。

NEC PC-6001版(旧シナリオ) 

最初期版(PC-88版と同時期発売)。
ゲームを開始したユーザーが先ず面食らうのは下のような画面だろう。


こちらは、昔のアナログTVにRF出力等(ビデオケーブルでも無く、アンテナ線で接続する方式)で接続した際の、いわゆる「にじみ」を利用して、擬似的に色を付けているのだ!
これは、PC-6001のスペースハリアーとか、海外では「AppleⅡ」等でも使われた技術(裏技?)。ただ、「より鮮明な画面を!」と、専用モニタを購入すると画像がモノクロになってしまう。
今回は、エミュレーターの「にじみ画面フィルタ」を使用して再現する。


ゲームを開始すると簡単な事件のあらましが、表示される。スペースキーを押すとゲームスタート。お馴染みの「晴海埠頭」より捜査が開始されます。


こちらも、なかなか良い感じのグラフィック。
いい味出してますねえー。


他の作品が、「海」・「流氷」・「鉛色の空」といったテーマで、オープニングの絵が用意されているのに対し、ピーカンの空に山です。


オープニングとエンディングでPSGによる音楽が流れます。
MSXが未発表だった当時、同級生がプレイしていたのは全てこちらの機種版でした。
内容については各機種差はありません。
ただ、セーブという概念がなく全4章に分割されてテープに収録されており、各章の終わりに表示されるパスワードを、次の章で入力するという形となっています。パスワードもドラクエの様な複雑ものではなく、「かにがくいたい」等、合言葉的な意味でしたね。
実はパスワードはMSXと共通で、当時、同級生にヒントを聞く際に、その辺りで進度が解ったりして。
皆さんそれぞぞれ、情感タップリにヒントをくれるのが印象的でした。
これは、当時としては驚くほどシナリオの良い、このゲームならではでしょうね。

NEC PC-8801・PC-9801版(旧シナリオ版)

こちらはとてもP6版と同時期に発売されたとは思えない、美麗なグラフィックのPC-88版です。(PC-98版も同内容・FM-7は申し訳ありません!プレイできておりません)
潔く音楽等は全くありません。


オープニング?の際にフラッシュバック的に流れるグラフィック。
さりげなく、東京編(?)のクロキの顔が分かるのはここだけ?
当時のサスペンスドラマのオープニングを見てるような気分になります。



いやー、今見ても色あせないグラフィック。画面も実は、瞬間表示。(MSX・P6はライン&ペイントかな?)
キレイに色分けされ読みやすい平仮名交じりのオリジナルフォントといい、さりげなく技術の高さも感じます。
そして、何と言っても堀井先生の「大発明」は右側の「コマンド選択」です!
これによって、警察が行う「捜査」を誰もが躊躇なく実行でき、ゲームに没頭出来るのでした。



また、このバージョンでは精細に描かれたグラフィックのお陰で、実際にロケハンを行ったロケ地を巡る「聖地巡礼」を行ってる人をネット上で多く見かけます。
そこでは特徴的な慰霊塔が、実は○○だった!とか、港湾事務所は、○○だった!とか、面白いネタもいっぱいあるので、お時間があれば検索してみては如何でしょう?

MSX版(旧シナリオ)

えー、今回、最後に登場しましたのは、我らがMSX版です。

ちょっと、子供に買ってあげたら、泣いちゃうような
箱絵。もう一つは以前ENIX回で語った「軽井沢誘拐案内」。
この箱絵!正直、エロゲをレジに持って行くよりテンパり
ました。(汗

箱の背面には美しいグラフィック。
でも、よーく見て下さい
画面端に小さく「画面写真はPC88で撮影したものです」
との表記が・・・。



一見するとPC6001版と大差無い様な感じで始まりますが・・・。


なんとも言えないグラフィック。
でも、これがMSXファンにはシンパシーを感じちゃうんですよねー。
 

第一発見者の「たかのさん」なんか若返って、「ヒロミ・郷」的な雰囲気に!(爆


余談ですが、このゲーム、実際のメディアは持っていたのに、何故かイメージ化に失敗ばかりして、レビューに使う事が出来なかったんですよねぇ。

MSX版では、オープニングと、エンンディング、そして、
芸者さん(!)のシーンでBGMが鳴ります。
特にエンディング曲は秀逸!!

結局、テープ4本分をWAVEでPCに取り込んだトコまででずーっと塩漬けになっていたのです。
それが、近年のエミュレーター(使用エミュレーター:OpenMSX)の進歩で、テープイメージとして、WAVE形式がそのまま読めるようになっていたのです。
おっかなびっくり試してみると・・・。
起動しました!

なんか、あっさりと。
このエミュレータのお陰で、最後までレヴュー出来たのです。

ええ・・・。ここまでが旧シナリオ版となります。この後はファミコン以後のシナリオ。そして、2024年に発売されたまさかの補完シナリオ「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ  ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~」について、語ってみたいと思います。

・・・が、相当長くなって来ましたので。次回に続きます。

後編をお楽しみに!

2025年9月21日日曜日

X68000とコナミ

 コナミ参戦!!


と言っても、X68000Zの話では無い。











1989年の話である。

当時、まだ貧乏学生だった私は、友人のRyo君の家でしか「X68000」を体験出来なかった。

そのRyoが、あるとき私と弟にこう言った。

曰く、「○○駅前のホテルで開催されるイベントに、一緒に行かないか?」・・・との事だった。

通常はこう言われると、くだらない自己啓発セミナーか、宗教団体の勧誘、自然食品の共同購入等が頭に浮かび、ちょっと構えてしまうのだが、やはり彼は一歩先を行く男。

彼の手には、背面にツタンカーメンの黄金のマスクをあしらったカード型の電卓が。

彼はX68000のオフィシャルなファンクラブ(EXE(エグゼ)クラブ)に入っており、その会員証が「カード型電卓」となっていたのだ!(うーん、流石シャープ!)




かくして、イベント会場にやって来た私達は、まずX68000のデモ機に驚かされる。会場をぐるっと取り囲むように、デモ機が設置されており、それぞれの画面には様々なゲームが動いていた!

当時、モニター含め50万円は下らないマシン。

更にホテルの1フロアを借り切ってのイベント。

多少なりとビジネス関連のお堅い話題が入るかと思いきや、会が始まると正面にはキーボードが3台並び「スペース・ハリアー」の「メインテーマ」の演奏が!

奏者・司会の方々は確か、永田英哉(Yu-You)氏、Gorry氏、そして当時「パソコンサンデー」等で活躍されていた、(現「スタジオベントスタッフ」代表取締役社長)「山下章」氏と、「マイコンBasicマガジン」から飛び出したかのようなライター陣のお姿がっ!

キャッチーなBGMでつかみはバッチリ!

会場も、僕らくらいの学生から子供までが多く(高級機なのにねぇ)、凄く盛り上がっていたように思います。

・・・おっと、語りすぎて趣旨から外れてきてますね。

その中で山下さんが、X68000の最新ゲーム情報を、こっそりとリークしてくれるコーナーがあり、「コナミ」の本格参入と「A-JAX」発売の発表があったのです。

A-JAX

現在では知る人ぞ知るレアなタイトル。
回転機能の無い68で回転・拡大・縮小を
行っています。



発売はコナミからですが、開発はSPS。長らく家庭用移植が無く(現在では「アケアカ」(PS-4)で、アリ。)X68kユーザーとしては鼻が高い1本。

各ステージのロードは長いですが、ゲームは良く出来ていると思います。


パロディウスだ!ー神話からお笑いへー



テレビで良くセクシーなシーンが流れた際の
効果音として余りにも有名な「声」

かつて、MSXにて発売された「グラディウス2」をスタッフの一人が趣味で書き換えて作成した「パロディウス」。

嘘かホントかそれのアレンジが余りに良く出来ていた為、そのまま発売に到ったとされる。

これは、その逆移植版。

コナミらしいチョイとパンチの効いたギャグと、クラッシックアレンジのBGM。

X68000版は初の「完全移植」となります。(今回より開発もコナミ)


生中継68




えっ!と、思われる方もおられるかも知れません。
MSX2で「激ペナ1・2」を制作したコナミさんですよ!
ちゃんとX68000でもリリースされております。
我が家でも意外と接客ゲームとして大活躍。お手軽且つ生音のような迫力・アナウンスが楽しい、隠れた名作だと思います。これがあるから「プロ野球スピリッツ」が今も・・・とか、思ったりして。

グラディウスⅡーGOFERの野望ー





遂に、遂に来ましたファン待望の初の完全移植!!
コナミはこれを移植したいが為に参入したのでは?
と、思うくらい完成された1本。
HDDインストール・増設メモリ・MIDI対応!申し分なし!


出たなツインビー!




何と、アーケード版稼働のその年に、完全移植!・発売!!となっている作品。

このシリーズより世代交代(ちなみに、旧作の搭乗者は今作の搭乗者それぞれの父親という設定となった。)が行われ、キャラ設定が大きく変った(萌え要素が強くなった?)ため、ちょっとした物議を醸した1本。

無論、ゲームの出来は申し分なし。MIDIもSC-55のアレンジにスタッフが慣れてきたのか、神曲が多いです。(「MIDIPower-Pro」のNo.1に、唯一、ゲームの音そのままの「SMFデータが」収録されていたほど。)


悪魔城ドラキュラ


  


X68000最後の作品。
発表された際に「何故、アーケード版移植せんのかなぁー?」と、思った方は私だけでは無いハズ。
そう、かつて雑誌の記事で見ただけで、プレイどころか、稼働している画面を見たことが無かったのです。
結果は大正解!
ドラキュラシリーズの第一幕の集大成として、そして、「ドラキュラX」シリーズへバトンを繋ぐ作品として、現在でも語り継がれる名作としてX68000の歴史に燦然と輝く作品になりました。


さて、MSXの時と同様、短いながらもX68000の歴史に十分すぎるほどのインパクトを与え、そのマシンそのものまで、現在の「X68000Z」のクラファンの際にみられたような「熱気」を残す事に成功した立役者の一人、それは「コナミ」であると言ってしまって差し支え無いでしょう。
今回は、さらっと紹介するのみでしたが、いずれ、それぞれのタイトルについて、熱く語らねばならないでしょう。