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2026年7月11日土曜日

何とここで「国民機」(98Fellow・PC-9801 BX2)ユーザーにっ!(1:導入編)

X68000の黄昏




遂に、この日が・・・。

「驕れるもの久しからず」(驕ってはいないが・・・)と云いますが、いざ、「秋風」を感じ始めるとハードというものは、その名とは違い弱いものであります。

専門誌である「Oh!X」ですら、回を重ねる毎にだんだん薄くなってゆき、ゲームの攻略記事は「餓狼伝説スペシャル」のキャラを毎月2人づつ攻略するといといった内容になってゆく・・・。


「終焉」が近づいていた。


「無敵」と思えたあのスペックをもってしてもである。


悪魔城ドラキュラ X68000版

スーパーストリートファイターⅡ

餓狼伝説スペシャル X68000版

「悪魔城ドラキュラ」「スーパーストリートファイターⅡ」「餓狼伝説スペシャル」など、確かに、ビッグタイトルのリリースは続いている。

・・・が、一方でリリースのペースは確実に落ちている。


折しも世間では「PlayStation」「SEGA SATURN」など俗に「次世代機」と言われたマシンの「蠢動」も聞こえてくるようになる。

どれもX68000が涙を飲んだ「CDーRom等の光学ドライブ」を標準搭載(!)し、3Dポリゴン・2D拡大縮小を当然の如くやってのける「怪物(モンスター)マシン」だ。


Play Stationのローンチ・タイトル、「リッジレーサー」
非常に完成度の高い移植。


SATURNの「デイトナUSA」(こちらは、サーキット
エディション)。


私自身、「リッジレーサー」「デイトナUSA」等を目の当たりにし、gプレイしていく内に、時代が変わった事を痛感していた。

(無論「大人のたしなみ」として、PS・SSは両方所有していた。)


だが、この先、更にPCを買おうという気持ちにはなれなかった。


最新技術をこれでもかと詰め込んだ、是が非でも欲しくなるようなPC。

そういったマシンが存在しない・・・。

そんな気持ちを勝手に持ち、PCの世界から一歩身を引いていた。

それが、その時の私でした。

だが、その空虚な日々はある事をきっかけに再燃。

現在へ至る長い旅の始まりとなる。


あるとき弟が友人のハルノブ君と一緒に街まで買い物に。

普段見ない組み合わせだな、と、訝しんだが、そう気にしてはいなかった。

帰宅後彼らの手にはとんでもない物が持たれていたのだ!


          


そう・そこには紛うこと無き「国民機」「PC-9801」の文字がプリントされた段ボールが!

愛称は「98Fellow」。パンフ記載の正式な型番は「PC-9801BX2」というらしい。

3.5インチFD・メモリ64+1M(だったか?)・CPUにインテルのi486sx(25Mhz・ソケットタイプ)という、中身スカスカの非常にシンプルな構成。

それに、社外品の外付けハードディスク・SCSIボード・何故か(注:1)MIDIボード(MPUPC-98Ⅱ)。


注1:MT-32(I君からの借り物)があるからか?賢明な方はお気づきだろうが、この時点でサウンドボードを買い逃しています。


まあ、何だかんだでX68000の横、専用アナログモニタの下に鎮座した、巨体。

無骨だが洗練されたデザインは嫌いじゃ無い。

先ずは、友人が挨拶代わりに置いていった山のようなソフト資産が我らを待っていた。

また、近所に何故かPCソフトの中古屋が爆誕!(恐らく元レンタル屋)し、レアなソフトを投げ売り状態で購入出来たこと等、好条件も重なり、いきなり国産16ビット機の深い世界を体験することに・・・。

では、そのほんの一端をみていこう。



信長の野望 -天翔記- +パワーアップキット



「信長」の最新作は、Dos上の信長最後の作品となる。(以後、PCではWindowsオンリー)
前作「覇王伝」では、何というか、城を一つひとつ落としてゆくのが大変で、結局ドロップアウトしてしまいましたが・・・。

今回は、更に城の数が増えているとのこと。

・・・それって、ゲーム的にどうよ?
と、思ったりはしたが、やはり、正月が近くなったら、「信長」でしょ!

と、いうわけで、私は「サウンドウエア無し」の素のゲーム。
同行していた「I」君は、「ウエア有り」の物を購入した。

さて、実際のゲームはというと、心配とはウラハラに素晴らしいの一言。
懸案の戦についても、1回の戦闘で一気に何城も落とせたり、他国の戦に介入出来たりと、新たに導入した「軍団制」の採用により、余計なことに手を取られずスピーディーな攻略が可能に!
「非Windows(天翔記にもWindows版はありますが・・・。)信長」の中でも「武将風雲録」と肩を並べる人気だとか・・・。


だが、更に、後日発売されたパワーアップキットによって「天翔記」は更に進化する。

な、何と、こちらを導入する事により、HDD専用にはなりますが、シナリオ・イベントの追加・各武将に「列伝」「エディット」の追加。
そして何より、各種ハードウエアへの対応がおこなわれます。

フルパワーアップするとメニューもこんな感じになる。
うーん、素のPC-98でここまでのものが出来るとは!

86音源・メルコ(現Buffalo)・アイオーデータ等のグラフィックアクセラレータ対応。
最大解像度で、1092×768ドッド。
こうなったら当時モニタで対応しているものを捜す方が難しくなる。

1,024×768ドット
表示「Windows上でも無いのにこの解像度でゲーム出来るなんて!!

そうそう、忘れてはいけない。この「天翔記」「サウンドウエァ」にも完全対応!
当然だが、最初から想定していた様な演奏で我らを魅了する。

各軍団運営については評定で決定される。


つまり最初から「ウエア付き」を購入した、「I」君の勝利なのだ!(W

CDの監修は「信長の野望」シリーズと縁が深い「菅野よう子」(カウボーイビバップ・TV版攻殻機動隊等のBGMでかなり有名)さん。
「ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団」による重厚な演奏。
これが合わない訳がない。

そして私も「サウンドウエアCD」を手に、再度ショップのレジへと並ぶのだった。(涙


ポリスノーツ



あの、小島監督が「スナッチャー」に続き手掛けるアドベンチャーゲーム(以下AVG)第2段。

PC-9821専用(!?)・86音源完全対応・CD-Romメディア・そして何より・・・、ちゃんと完結します(爆。


大変申し訳ありません。

実は私、ファンを公言しながら、このゲーム「PC-9821版」が最初のリリースとなりますが、発売・雑誌掲載されるまで、その動向を全く知りませんでした。


・・・ゲームのパッケージはこんな感じです。



おっさんであります。

宇宙飛行士のおっさん5人の集合写真。

ある意味「攻めた」パッケージ。

現在と違って、「小島監督」の名前はちんまりと・・・。


この時点でゲームを「ジャケ買い」された方。

貴方は勇者です。

(我々のグループで最初に「この事実」に気付いて購入し、更に教えてくれた「I」君。キミも勇者だ!)


PC-9821版では、他機種には無い(PCエンジンCD-Rom版「スナッチャー」の様な)小窓による顔芸が楽しい。(98版も2週目から「字幕モード」が選択出来る。)

↑PC-9821版のみの演出!
※ムービーです。画像をクリック願います。


「ポリスノーツ」につきましてはまた、時間をとりましてじっくりと語りたいと思います。

おっと今回もダラダラと喋り過ぎましたね。
読者の方で、当時の事情に詳しい方は、ある矛盾に気付かれた方もおられるかと思います。
そこら辺も含め、「(2)PC-98活用編」を今少し語らせて下さい。

ではまた、次回をお楽しみに。

2026年2月18日水曜日

余り大きな声で語りたくないソフト(X68000編③-.完)


凄いソフトが現れた。


PCエンジン版「イースⅠ・Ⅱ」。
CD-Romの大容量を活かしてオープニング、エンディングアニメーションの追加。
豪華声優陣による、ボイスの追加等々・・・。


サウンドも「米光亮」氏による素晴らしいアレンジ。
それを、(一部を除き)CDDAで流すというゴージャスな仕様。
氏はこの後、「難波弘之」氏に次ぐファルコムのサウンドの名アレンジャーとして活躍することとなります。


オープニングのナレーションは、「装甲騎兵ボトムズ」等で名を馳せた「銀河万丈」氏。氏はこの後、PCエンジンCD-Rom2ソフトのナレーションの第一人者となってゆきます。


船に乗って(注1)エステリアを目指すアドル。

注1:あれ?島の周りには「嵐の結界」があって、アドルは偶然「ホワイトホーン」の浜辺に漂着・・・と、いう設定は見事にスルーされていますね。
定期船も出てるみたいで、エステリアは冒険者来放題!(・・・だから、サラが「おいでませ」って感じで船着き場で剣士を出迎えているのかな?)


僕的にPCエンジン版「イースⅠ・Ⅱ」最大の発明は、時折挿入されるバストアップ画像だと思います。
こちらをゲーム中に画面に差し込む事により、ドラマを盛り上げると共に、ゲームの重要なシーンに自分が居ることをプレイヤー側にも再認識させる効果があります。
これについては、本家ファルコムも気に入ったのか、後発のリメイクである、「イースⅠ・Ⅱ エターナル」・「同・クロニクル」にも同様の画像が見られます。

イースⅠ・Ⅱ・クロニクルより

何よりコンシューマ機という大きな市場を持つ機械のソフトとして、ある程度のヒットを飛ばしたこの「PCエンジン版イースⅠ・Ⅱ」は、今後のシリーズの方向性に影響を与えたと言って過言ではありません。


さて、本題は・・・

・・・ここからです。
以前、友人のRyo君とX68000のオフィシャルなファンクラブ(EXE(エグゼ)クラブ)のイベントに行き、その会場にて山下章氏より最新のゲーム情報を教えて貰うコーナーがあった・・・うんぬんと、いう話をさせていただいたかと思います。
実は山下氏はその際に、電波新聞社(マイコンソフト)のX68000ソフトの最新情報もお話しされていたのです。

曰く、タイトル名はまだ言えないが「ラピュタ」っぽいヤツだ!とのこと。

画像はX1turbo版です

・・・もう、話したも同然ですね。
山下さん素晴らしいリップサービスをありがとうございます。

時は流れ・・・

・・・遂にYsⅠ(X68000版)発売!
・・・・・・だが。


おおっと!いきなり「天野喜孝」氏のイラスト!
FFのキャラデザで、一世を風靡する氏がオープニングを!
これはゲーム全体のイメージも「天野さん風」に・・・?


防具屋のおじさん。
「天野さん」・・・と、いうより・・・(寅さんの)「渥美さん」と、いう感じですね・・・。


グラフィックは陰影が強く、昔の油彩のような何とも言えない雰囲気。
どことなく、皆、病んでいる感が・・・。
というか、ゾンビ化して襲って来そうな雰囲気がするのは私だけでしょうか・・・。


キャラは少し大きめ3頭身。
・・・雰囲気はかなり変りましたが・・・。

でも、一番の違和感は・・・。
このお二方でしょうか?
ジェバもバイオハザードに登場しそうなキャラしてますが、一番コワイのは奥に鎮座する「フィーナ」を自称する「リビングスタチュー」です。ダンジョンの牢で出会ったら解放するどころか連れて帰らないでしょう。

これはぁ!妙に目力がある「ジェバ」婆さんに、
土人形のような「フィーナ」。
では、「リリア」は?という話題で一部のファンは
盛り上がったとか、盛り上がらなかったとか・・・。

同様のシーンをPCエンジン版で。
アニメがどうのこうのより、こちらの方が落着きますな。
       

確かに「Ys1」に於けるアニメ的な表現は、後のシリーズから見ると抑えられた感じでした。
ただ、制作陣も、ユーザー側もリアリティーは望んでいたかも知れないですが、「不気味さ」を感じるまでのリアルは望んでいないと思われます。

Ys1より「フィーナ?」かな?

Ys1マニュアルより「アドル」
当時は燃える様な赤毛では無かった?

但し、このゲーム、単なる冷やかしや、前の回で語った様な「技術不足」ではありません。音楽のアレンジも素晴らしいですし、最後まで完走したユーザーも(私を含め)友人にも何人かおり、大多数はこれはこれでアリ・・・という感想です。
ただ、「YsⅡ」、「PCエンジン版イースⅠ・Ⅱ」とプレイし、そちら方面にちょとヤられ気味だった自分の肌に合わなかっただけかも・・・と、今になって思ったりもしました。

2026年2月11日水曜日

余り大きな声で語りたくないソフト(X68000編②)

♪吐き出す台詞はひとつで 今は Don't touch me!

(TVアニメ「よろしくメカドック」OPより)


子供の頃は「クソゲー」という言葉は無かった。
なんせ、親に貰ったなけなしのお金である。社会人になった今だからこそ、肌に合わないゲームというのは、積みゲーとして忘却の彼方へ消し去る事が出来るようになったが、子供の頃はそうはいかない。

・・・そう、無理やりにでも「愛さ」なければならないのだ!

だが、その努力もむなしく愛す事すら困難なソフトが登場し始めた。
X68k信徒のうち、何名かがこれを入手。
彼らは衝撃と共にこうつぶやいたとか、つぶやかなかったとか・・・。
「おおカミよ、何故にアナタは我らの「愛」をお試しになるのです?」

今回はそんなお話です。(なんじゃそりゃ!?)



フルスロットル

いかにもな名前のゲームであります。恐らく「アウトラン」に影響を受けたと思われる、公道レースを題材としております。(画面はPS2版「タイトーメモリーズII 下巻」より)


MAZDA往年の名車RX7(FC3S)を彷彿とさせる外観。
カーマニアなら、それだけでグッとくるというものであります。
そして、このゲームの魅力の一つが一定回数しか使用出来ないニトロの存在。
マンガ「よろしくメカドック」では、チューニングの最終兵器的な扱いをされ、ガソリンに添加して使用すると爆発的なパワーを発揮するシステムである。

次原隆二「よろしくメカドック」より

但し、使いすぎるとエンジンに良くないようで、マンガの中では主人公「風見」がついついアツくなって使用してしまい。エンジンブローを起こしてしまう姿が描かれています。

次原隆二「よろしくメカドック」より

・・・おっと閑話休題。

「ニトロを使え!」と誰かが叫ぶ!

そんなワイルドなスピードのレースを再現した当作品。

思えば、「アウトラン」などは、MkⅢ・PCエンジン・MD・MSX2にまで、(中には無茶移植もあるが・・・)MD、PCエンジンなど良移植で知られているのに結局、X68k版は発売されなかった。


・・・が、そんな悲嘆に暮れるX68kユーザーに向け、「フルスロットル」であります。
しかも、シャープブランドで!(開発はSPS)

シャープとSPSのブランドは、以前「スーパーハングオン」をリリースし好評を博したブランドでもありました。

このゲームを購入したのが誰あろうRyo君。
一緒に買いに行ったのは私。
その時は、このアト彼の身に起きる悲劇を、誰も知る由もありませんでした。
いつも通り、馬鹿話をしながら電車での行き帰り。

その日、彼の笑顔を見たのはそれが最後となりました。


X68kの前で青くなったり赤くなったりする彼の顔色を見て、我々もどうして良いか分らず声を掛けようとすると、

「今は、Don't touch me!」

彼の背中がそう答えているようでした。
だけど、我々は知りませんでした。

この後、彼の身に起きる本当の悲劇を。


チェイスHQ


図らずも同様のタイトル。同様の(TAITO Z SYSTEM)である。

画面はPS2版「タイトーメモリーズII 下巻」より

今回は声だけですが、各ステージの最初で署のオペレーター「ナンシー」さんより緊急連絡が入り、逃走車両についての簡単な説明があります。

画面はPS2版「タイトーメモリーズII 下巻」より

車は「ポ○シェ」っぽくなりました。
そして、このゲーム最大の特徴が、何といっても、車をぶつけて犯人の逃走を止めるところ。
これまでのドライビングゲームで、車をぶつける事はリスク以外の何物でもありませんでした。
それを逆転の発想でゲームに落とし込み、痛快さを演出するとともに、他のレースゲームとの差別化も果たしています。


画面はPS2版「タイトーメモリーズII 下巻」より

そして前作「フルスロットル」でも路肩にズラッと並んでいた看板「○イアミバイス」を彷彿とさせる主人公達バデイ。

画面はPS2版「タイトーメモリーズII 下巻」より

この演出によりゲームは一気に面白さと知名度を増し、前作とは正反対に様々なハードへの移植を果たしてゆくのでした。

そしてこちらも例に漏れずX68kへ移植されることとなった。TAKERTU専売で、開発はTwinSoftとなっている。余り聞き慣れない名前だ。一応ネットで検索してみると、オーソドックスなAVGを開発しているらしい・・・が。(画像はX1turbo版)


 本当にその会社が制作したものかは確証が取れていないので、例え住所が分かっても「不幸の手紙」とか送ったりしない事!
・・・これは。

そしてまたしても信号機のように、顔色を変化させるRyo君。
・・・また引っかかってしまったのですね。

「今は、Don't touch me!」

・・・彼には心を癒す時間が必要なようです。

総評

フルスロットル

こちらのソフトですが、完全にゲーム中のフレームが足りておりません。
そのため、ニトロ使用時にはフルスロットルならぬ、フルバックで走行しているような感覚にすらなります。

さすがにプロが作っているだけあってチェイスHQよりは幾分マシです・・・と、言いたい処ですが・・・、それでは、やはりダメでしょう。
大手メーカーの名前まで冠したソフトなのだから、どちらかでストップを掛け、技術が不足しているのだったら、スタッフ総入れ替えをして再度作り直すくらいの気概が欲しかったです。

チェイスHQ

ええ、何と言いますか・・・。
「何やってんの!?」(ブライト艦長風に)

コースに分岐が無い。コースが殆ど直線。サイレンが鳴らない。逮捕シ⁻ンが無い。など、挙げれば指摘事項に暇が無いほどですが・・・。

決定的なものは技術不足ですね。

また、この世界は物理的に破綻しています。

スピードが上がれば上がるほど、もっさりと動きだす「看板」や「周囲の建物」。
建物が完全に浮き上がり我々と同じスピードでついて来ているような感すらあります。

更に罪深いのがディスク内のテキスト。

「ソースファイルを付けるので、完成させようと思う方はどうぞ。」的な、文書がしゃあしゃあと書かれているではありませんか!

少なくともスタッフは未完成であることを承知の上で売ったのです。

酷い話です。
購入したユーザーの心のみならずX68kのブランドイメージまで汚したこの作品。
もう二度とこのような作品が世に出ないよう、祈るばかりです。

2026年2月2日月曜日

余り大きな声で語りたくないソフト(X68000編①)

♪そぉっと~しぃ~ておいてくぅれ~

(装甲騎兵ボトムズOPより)


 高級な車、バイク、服。


人は皆、差別されることを嫌い、社会の均一化を願う。

だが、信号待ちで、同じ車種・同じグレードのクルマが並んだ際に、少しでも自分のオプションパーツが良い物を付けていれば「勝った」と思い、相手がより上ならば「落胆」してしまうという、ジレンマを抱えた生物でもあります。

それは、人によって様々で、誰しもここは負けたくないという境界線を抱え、生きているのでした。


では、X68000ユーザーはどうでしょう?

恐らく他のパソコンユーザーよりも、何ならハイエンドゲーム機ユーザーよりも上のゲーム体験が自分は出来ている。

それがユーザーの誇りであり、高額なマシンに投資した対価でもあったのです。


・・・けど、多くのゲーム・メーカーが「何かしらの付加価値」を付けてゲームをリリースするのに対し、その数が増えれば増えるほど、中にはデザイナー、開発者の強すぎる個性や、技術不足、勘違い(?)等で変な方向に行ってしまったゲームも残念ながら出てきます。

しかも、意外と老舗のメーカーでも・・・。

今回はこんなお話です。


スタートレーダー

移植:M.N.M Software(TAKERU専売)


※画面はPC-88版です

原作は日本ファルコムが、PC-88・PC-98シリーズ用に開発したアドベンチャー+シューティング+SFという、あの「夢幻の心臓」や「ダイナソア」のゲームデザイナー「富一成」氏の趣味全開のソフトとして知られていた。

※画面はPC-88版です

宇宙をまたに掛けて、危険な荷物を運ぶ凄腕「トレーダー」(注1)カイン。
彼は人工知能、「アダリー」を相棒に今日も、愛機フェンリルと共に宇宙を駆ける。

注1:「トレーダー(交易商人)」と、名乗っているが、実際やっていることは、「ポーター(運び屋)」である。けど、野暮な事は言わず、経年により言葉の意味が変って来た。・・・としておこう。「カウボーイ・ビバップ」の「カウボーイ(賞金稼ぎ)」みたいな感じで。


※画面はPC-88版です

そんな彼の元を一人の少女が訪れる。

「レフィ」と名乗った少女は、高額な対価と引き換えに、自分の「おじいちゃん」を捜して欲しいという、実に漠然とした依頼を提示してきた。


※画面はPC-88版です

多少鼻白んだカインではありましたが、どうせ、子供のタワゴト。
いずれ諦めるだろうと、タカをくくり、フェンリルへの乗船を許します。
こうして、アダリー含め3名の奇妙な旅が始まります。
やがて、その事が銀河を揺るがす大事件となることも知らずに・・・。

※画面はPC-88版です

「富一成」氏のファルコム移籍第一弾となったこのソフト。
同じくハヤカワ文庫のブルーバックが大好きだというYsのグラフィック「山根ともお」氏と意気投合して誕生したという。

SFマインド溢れる作品だが、発売された機種がPC-88、及び98というあまりシューティングには向かない機種。
私としては、難易度もユル目で、良く頑張ってるなぁ・・・と、思っていたのですが、世間的には余り話題にはならなかった様な気がします。

そんな、「スタートレーダー」がX68000へ移植される!
広告に掲載されているサンプル画面は美しく、遂にスペースシューティングの面目躍如か!?と、思わずには居られない。


そして発売!

移植は、X1版「アルガーナ」X68k版「スターウオーズ」等で定評のある「M.N.M Software」TAKERU専売ということで、普段行かない店に行かねばならないが、いい大人になった現在では、羞恥に怯える我らではない。

新たに車という翼を入手した我らは兵員を動員、四名ほどでTAKERUを占拠。


より、「当然」という雰囲気を醸しだし、ソフトの入手に成功した。

スイッチを入れるのももどかしく愛機にディスクを挿入し、起動!簡単なオープニングの後に「スタート」を押す。


上の88版の同シーンと比べて観て欲しい
何故こうなった?

ビジュアルシーン周りを安っぽい意匠が飾る
はっきり言おう。こんなモノ要らない!

こ、これは!


期待したゲームは、「スタートレーダーの皮を被った別のゲーム」になっていた。

しかも、グラフィックは微妙にデッサンが狂っており、特に主人公の「カイン」などは、少しくたびれ気味の青年マンガ誌のキャラを主演に持って来たような、生活感溢れる親しみやすいおっさんへと変貌を遂げていた。

最も衝撃を受けたのがゲーム開始時。

原作では簡単なAVGとして、コース選択・武器の購入・出撃の際の武器選択が出来ていたが、AVG部分をばっさりカット!

※画面はPC-88版です

※画面はPC-88版です


所謂ビジュアルシーンへと変更してくれていた。


確かに

元のゲームも、色々と選択が出来そうで、攻略はほぼほぼ一本道である。だったら面倒な選択肢を取ってしまって・・・と、いうほどゲームは甘くない。

かつて、(株)スタジオベントスタッフ・社長の山下章氏がムック本制作のため、ドラクエ等の生みの親堀井雄二さんを訪ねた際のことである。

その際に、ドラクエに於ける簡単な選択肢(1で「りゅうおう」に世界の半分を譲る?(はい/いいえ)とか、1のラストで姫を連れて行く?(はい/いいえ)とか)は、どういう意図で入れているのか聞いてみたそうであります。


※画面はFC版です。実際FC版では、とんでもない
ペナルティーが待っている。ちなみに「その後」
の世界を描いたのが「ビルダーズ1」です。

すると堀井さんは、「概ねは正しい選択をするでしょう。但し、「竜王にせかいのはんぶんを譲った世界ってどうなってしまうのか?」など、間違った選択をしなくても、思い悩んだ事は、「記憶」の奥に残り続ける。・・・だから、「ココ」と言う場所にはワザと選択肢を入れて、プレイヤーに選ばせるようにしている・・・。」との答えでした。

そうなのです。

このゲームはプレイヤーの差し出した手を、「ご遠慮申し上げます」とばかりに返してしまったのです。



では、肝心のシューティングの方はどうでしょう?

原作の方はアクションが弱い分、巨大な星の上を通過するなど、ステージ構成で魅せる工夫が多いような気がしました。

※画面はPC-88版です

対するX68000版ですがこちらは流石に良く出来ています・・・と、言いたい所ですが、うーん、結局、この移植を行った人達ってゲームを一通りやってみたんでしょうか?



原作のPC-88版では、愛機「フェンリル」はライフ制であり、それが尽きるとゲームオーバーとなる仕様です。

対するX68k版は残機制。・・・これっておかしくないですか?

主人公の相棒であり、母親役の人口知能「アダリー」(フェンリルに組み込まれてる)の存在です。全ての残機と並列化でもしているのでしょうか??

結局、元軍人ではあるみたいですが「カイン」は「トレーダー(運送業)」です。

運送業は運んでナンボ。

(これは原作(PC-88版)でも同様なのですが)そんなに戦ってどうすんの??

特にX68000版のフェンリルは一発でアウトになる仕様なんだから、むしろ戦闘を避けるべきでは(と、なるとシューティグそのものの意義が・・・)??

また、X68000版は更に戦闘が激しくなった為、まるでワンマンアーミーで戦争をしに行ってる感すらあります。いつも戦っているのは無人の防衛システムと仮定してもカインが運送する事により被るリスクが大きすぎます。カイン自身もステーションを利用するんですから賞金首になってしまったら元も子もないでしょうに・・・。


おっと、

ここらで良い時間となってしまいました。

ちょと、原作愛が強すぎて、自制が効いていない感じでしたね。

折角の希少なスペースオペラ物だったんで、つい・・・。

関係者の皆様。申し訳ありません。

ファルコム様「Ys」のように3Dポリゴンでリメイク&リブートしません?

即購入しますよ!!