2026年2月2日月曜日

余り大きな声で語りたくないソフト(X68000編①)

♪そぉっと~しぃ~ておいてくぅれ~

(装甲騎兵ボトムズOPより)


 高級な車、バイク、服。


人は皆、差別されることを嫌い、社会の均一化を願う。

だが、信号待ちで、同じ車種・同じグレードのクルマが並んだ際に、少しでも自分のオプションパーツが良い物を付けていれば「勝った」と思い、相手がより上ならば「落胆」してしまうという、ジレンマを抱えた生物でもあります。

それは、人によって様々で、誰しもここは負けたくないという境界線を抱え、生きているのでした。


では、X68000ユーザーはどうでしょう?

恐らく他のパソコンユーザーよりも、何ならハイエンドゲーム機ユーザーよりも上のゲーム体験が自分は出来ている。

それがユーザーの誇りであり、高額なマシンに投資した対価でもあったのです。


・・・けど、多くのゲーム・メーカーが「何かしらの付加価値」を付けてゲームをリリースするのに対し、その数が増えれば増えるほど、中にはデザイナー、開発者の強すぎる個性や、技術不足、勘違い(?)等で変な方向に行ってしまったゲームも残念ながら出てきます。

しかも、意外と老舗のメーカーでも・・・。

今回はこんなお話です。


スタートレーダー

移植:M.N.M Software(TAKERU専売)


※画面はPC-88版です

原作は日本ファルコムが、PC-88・PC-98シリーズ用に開発したアドベンチャー+シューティング+SFという、あの「夢幻の心臓」や「ダイナソア」のゲームデザイナー「富一成」氏の趣味全開のソフトとして知られていた。

※画面はPC-88版です

宇宙をまたに掛けて、危険な荷物を運ぶ凄腕「トレーダー」(注1)カイン。
彼は人工知能、「アダリー」を相棒に今日も、愛機フェンリルと共に宇宙を駆ける。

注1:「トレーダー(交易商人)」と、名乗っているが、実際やっていることは、「ポーター(運び屋)」である。けど、野暮な事は言わず、経年により言葉の意味が変って来た。・・・としておこう。「カウボーイ・ビバップ」の「カウボーイ(賞金稼ぎ)」みたいな感じで。


※画面はPC-88版です

そんな彼の元を一人の少女が訪れる。

「レフィ」と名乗った少女は、高額な対価と引き換えに、自分の「おじいちゃん」を捜して欲しいという、実に漠然とした依頼を提示してきた。


※画面はPC-88版です

多少鼻白んだカインではありましたが、どうせ、子供のタワゴト。
いずれ諦めるだろうと、タカをくくり、フェンリルへの乗船を許します。
こうして、アダリー含め3名の奇妙な旅が始まります。
やがて、その事が銀河を揺るがす大事件となることも知らずに・・・。

※画面はPC-88版です

「富一成」氏のファルコム移籍第一弾となったこのソフト。
同じくハヤカワ文庫のブルーバックが大好きだというYsのグラフィック「山根ともお」氏と意気投合して誕生したという。

SFマインド溢れる作品だが、発売された機種がPC-88、及び98というあまりシューティングには向かない機種。
私としては、難易度もユル目で、良く頑張ってるなぁ・・・と、思っていたのですが、世間的には余り話題にはならなかった様な気がします。

そんな、「スタートレーダー」がX68000へ移植される!
広告に掲載されているサンプル画面は美しく、遂にスペースシューティングの面目躍如か!?と、思わずには居られない。


そして発売!

移植は、X1版「アルガーナ」X68k版「スターウオーズ」等で定評のある「M.N.M Software」TAKERU専売ということで、普段行かない店に行かねばならないが、いい大人になった現在では、羞恥に怯える我らではない。

新たに車という翼を入手した我らは兵員を動員、四名ほどでTAKERUを占拠。


より、「当然」という雰囲気を醸しだし、ソフトの入手に成功した。

スイッチを入れるのももどかしく愛機にディスクを挿入し、起動!簡単なオープニングの後に「スタート」を押す。


上の88版の同シーンと比べて観て欲しい
何故こうなった?

ビジュアルシーン周りを安っぽい意匠が飾る
はっきり言おう。こんなモノ要らない!

こ、これは!


期待したゲームは、「スタートレーダーの皮を被った別のゲーム」になっていた。

しかも、グラフィックは微妙にデッサンが狂っており、特に主人公の「カイン」などは、少しくたびれ気味の青年マンガ誌のキャラを主演に持って来たような、生活感溢れる親しみやすいおっさんへと変貌を遂げていた。

最も衝撃を受けたのがゲーム開始時。

原作では簡単なAVGとして、コース選択・武器の購入・出撃の際の武器選択が出来ていたが、AVG部分をばっさりカット!

※画面はPC-88版です

※画面はPC-88版です


所謂ビジュアルシーンへと変更してくれていた。


確かに

元のゲームも、色々と選択が出来そうで、攻略はほぼほぼ一本道である。だったら面倒な選択肢を取ってしまって・・・と、いうほどゲームは甘くない。

かつて、(株)スタジオベントスタッフ・社長の山下章氏がムック本制作のため、ドラクエ等の生みの親堀井雄二さんを訪ねた際のことである。

その際に、ドラクエに於ける簡単な選択肢(1で「りゅうおう」に世界の半分を譲る?(はい/いいえ)とか、1のラストで姫を連れて行く?(はい/いいえ)とか)は、どういう意図で入れているのか聞いてみたそうであります。


※画面はFC版です。実際FC版では、とんでもない
ペナルティーが待っている。ちなみに「その後」
の世界を描いたのが「ビルダーズ1」です。

すると堀井さんは、「概ねは正しい選択をするでしょう。但し、「竜王にせかいのはんぶんを譲った世界ってどうなってしまうのか?」など、間違った選択をしなくても、思い悩んだ事は、「記憶」の奥に残り続ける。・・・だから、「ココ」と言う場所にはワザと選択肢を入れて、プレイヤーに選ばせるようにしている・・・。」との答えでした。

そうなのです。

このゲームはプレイヤーの差し出した手を、「ご遠慮申し上げます」とばかりに返してしまったのです。



では、肝心のシューティングの方はどうでしょう?

原作の方はアクションが弱い分、巨大な星の上を通過するなど、ステージ構成で魅せる工夫が多いような気がしました。

※画面はPC-88版です

対するX68000版ですがこちらは流石に良く出来ています・・・と、言いたい所ですが、うーん、結局、この移植を行った人達ってゲームを一通りやってみたんでしょうか?



原作のPC-88版では、愛機「フェンリル」はライフ制であり、それが尽きるとゲームオーバーとなる仕様です。

対するX68k版は残機制。・・・これっておかしくないですか?

主人公の相棒であり、母親役の人口知能「アダリー」(フェンリルに組み込まれてる)の存在です。全ての残機と並列化でもしているのでしょうか??

結局、元軍人ではあるみたいですが「カイン」は「トレーダー(運送業)」です。

運送業は運んでナンボ。

(これは原作(PC-88版)でも同様なのですが)そんなに戦ってどうすんの??

特にX68000版のフェンリルは一発でアウトになる仕様なんだから、むしろ戦闘を避けるべきでは(と、なるとシューティグそのものの意義が・・・)??

また、X68000版は更に戦闘が激しくなった為、まるでワンマンアーミーで戦争をしに行ってる感すらあります。いつも戦っているのは無人の防衛システムと仮定してもカインが運送する事により被るリスクが大きすぎます。カイン自身もステーションを利用するんですから賞金首になってしまったら元も子もないでしょうに・・・。


おっと、

ここらで良い時間となってしまいました。

ちょと、原作愛が強すぎて、自制が効いていない感じでしたね。

折角の希少なスペースオペラ物だったんで、つい・・・。

関係者の皆様。申し訳ありません。

ファルコム様「Ys」のように3Dポリゴンでリメイク&リブートしません?

即購入しますよ!!