はぐれ刑事旅情編?
鉛色の空に流氷漂う海。 私の北海道に対するイメージ。 |
北海道に行ってみたい・・・。
そう思うようになったのは、矢野徹先生の「カムイの剣」、東直己先生の「ススキノ探偵」シリーズ、そして、何よりこのゲーム「オホーツクに消ゆ」の影響に他なりません。
「社会派推理アドベンチャー巨編」と銘打たれた紙パッケージを電気屋(当時、地方はゲーム屋なんて無かったのだ)で発見した時、(タイトルは耳にしたことがあり、興味もあったのですが)おどろおどろしいイラストに一瞬、自分にはまだ早いんじゃないか・・・と、購入を躊躇しそうになりました。
パッケージ裏を見てみると、当時の水準ではかなり美しいグラフィックが掲載されています。
これは流石に某国民機のものとすぐ解りましたが、逆にMSXでこのグラフィックがどれだけ再現されるんだろう?と、興味が沸きました。
グラフィックは、いかにもMSXというタッチ。 |
かくて我が家へやって来たこのゲーム。期待と不安の中ロードしてみたゲームの画像は、なんとも牧歌的な・・・というか、MSXらしいというか・・・。
チラシを元にやって来た場所は歓楽街。 |
でも、ゲームを進めていくうちにに、このタッチがたまらなく好きになっていくのです。
当時、高校生の私は少しドキドキ。 |
ゲームは、警部(ゲーム中はボス)である自分が相棒の刑事と殺人事件の捜査をするという内容。
アドベンチャーゲームとしてはオーソドックスと思うかも知れませんが、意外とそんな内容のものは当時は少なく(結局プレイしたことは無いですが、同じ作者のポートピア連続殺人事件ぐらいですか)、自分としても推理ものは初体験でした。
火曜サスペンス劇場か土曜ワイド劇場みたいな「お約束」が目白押しですが、当時高校生だった自分は、キャバレーに聞き込みに行ったり、ホステスを調べて「シャブのあとなどはありませんねぇ」なんて台詞にドキドキした覚えがあります。
ついに被害者の身元が判明。いよいよ北の大地へ! |
ゲームは5部構成になっており、序章ともいえる1部が終了すると、いよいよ北海道での捜査が始まります。
ここも、実際にロケ地があるそうです。 |
また、このゲームは当時としては珍しく、実際にロケハンを行って作られたそうで、そのせいかロケ地を訪れているファンの方もネットに散見されます。特に、(PC-6001版やMSX版はさておき)PC-8801版のグラフィックは緻密で、実際の風景と比較して撮影スポットまで特定しているサイトもあるくらいです。
実際の地名が物語に深みを与えています。 |
ゲームは、殺人という重いテーマにも関わらず、旅情感タップリで、堀井雄二先生の軽妙なシナリオと相まって、クリア後も周回プレイしたくなってしまいます。
このプレイし易さこそ、堀井先生が採用(発明?)した、「コマンド選択式」の恩恵に他なりません。
これは素晴らしいシステムで、専門用語が多い刑事物で、「ききこみ」とか「よべ だいいちはっけんしゃ」なんて、言葉探しを強いられていたら、第1部で事件が迷宮入りとなるプレイヤーが多く居た事でしょう。
このシステムのお陰で、プレイヤーはストーリーに没頭でき、制作者はよりテンポ良く、ドラマチックなストーリー展開が可能となるのです。これは、アドベンチャーゲームの可能性を広げ、やがて、「ジーザス」や「スナッチャー」のような名作を生むこととなります。
ここまで来れば、事件解決も近い! 語られる衝撃の真実。 |
「コマンド選択式」にも、あまり考えなくてもコマンドを総当たりするだけで、ストーリーが進んでしまうといった弱点があります。
無論、制作者もその点は予見していたようで、ゲーム中には、名前の入力をせねばならない箇所や、取るとハマってしまうアイテム等が巧みに配置されています。(かくいう私も、久々のプレイで見事に引っかかってしまいました)
単純に「コマンド総当たり」では たどり着けません。 証言も、重要なものはメモった方が 良いでしょう。 |
堀井先生はここで完成したシステムをもとに、更に遊び心タップリの「軽井沢誘拐案内」をリリースすることとなりますが、それについては、また後日お話ししたいと思います。
いつか、即売所で「ニポポ人形」を 買いたいな。 |
就職して、ようやく憧れの北海道に旅行は出来ましたが、行けたのは函館と、札幌(ススキノ)のみ。改めて、北海道って広いんだなぁ・・・と、思いました。
老後になるかも知れませんが、いつか自分もロケ地を巡ってみたい・・・と、今でも密かに思っています。
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