真実の「スナッチャー」
時に1988年11月、ひとつのアドベンチャー・ゲームが、産声を上げた。
通常の制作期間を大幅にオーバー。
前半部分のみで発売。あの「メタルギア」を制作した「監督」さんの作品だという。
ゲームの名前は「スナッチャー」。
現在に至るも多くのファンを世界に持つ同監督による「ポリスノーツ」と、肩を並べるパソコンAVGの傑作の登場である。
だが、余りに多く費やされた時間は、続編の制作を皮肉にも鈍らせることとなる。
これは、後にCD-Romメディアの登場によって無事「補完」されるのだが、私も含め多くのファンが「結末」を知らないまま、路頭に迷う事になる。
音沙汰の無いまま約一年の時が流れた。
そして、唐突にリリースの話が雑誌を賑わせ始めたのが、今回の「SDスナッチャー」である。
当時、SDというのは、コミカルで、余りに「スナッチャー」の世界観と合わないというか、ツウな人しか楽しめない「楽屋オチ」的なゲームを想像していた。
まあ、実際にハードも持っていないのでプレイも不可能だったのだが・・・。
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懐かしいBGMの「ジョイ・ディビジョン」。 |
それでいて、スナッチャーとの乾いたチェイスは雰囲気を壊すこと無く再現されている。
ここいらへんはMSX2やFCにて多くのアクションRPGをリリースしてきたコナミの真骨頂という感じである。
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アンテナを破壊すれば、仲間を呼べません。 ACCを下げれば攻撃が当たらなくなります。 |
また、RPGの華といえば戦闘である。原本の「スナッチャー」同様、スナッチャー本体と対峙するには多くの時間を要する(レベルも)のだが、やはり最初は「インセクター」「クリーチャー」など彼らが使役する機械を相手にすることとなります。
戦闘システムも秀逸で、ブラスター等で狙った部位を破壊していくこととなるのですが、破壊する部位によって相手に与える効果が違います。
カメラ的な部位を破壊すれば命中率が下がったり、仲間を呼ぶ敵には、アンテナっぽい部位の破壊が効果的です。
ただ、気を付けねばならないのは、余りに多くの部位を破壊していると敵は最終手段で自爆してしまいます。
こうなってしまうと、経験値は入りません(お金は入る)。
虫の羽をむしって遊ぶが如き行為はやめておきましょう。
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いくら部位の破壊が出来るといっても、何も 残らないくらい丸裸にしてしまうと 敵も最終手段「自爆」に訴えます。 |
基本的にはカメラ類を破壊すれば、敵の攻撃は当たらなくなります。「ACC」の低下のみにしぼって攻撃してゆくのがベターでしょう。
こうしてみれば、いかにも楽しいRPGの様に思えるかもですが、少し練り込み不足な感もあります。
戦闘にかかる時間の長さに対して、エンカウント数が多すぎるのです。
せっかくシンボルエンカウントにしているのだから、敵を自由に回避出来るようにデザインするくらいでも良かったのではないでしょうか?
マップが狭い迷路状であるため、殆ど全ての敵を排除しなければならないばかりか、道に迷って思わず元来た道を引き返すと全ての敵が復活しています。お陰でレベルは良く上がりましたし、カンストした辺りで丁度ラスボスと対峙するので、決してバランスは悪くないのでしょうけど・・・。
僕は、ちょっと辟易でした。
※ここから先、スナッチャー及び、SDスナッチャーのストーリーの核心に触れる内容となります。
未クリアの方はご注意下さい。
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肝心のストーリーに関しては見事の一言です。
RPGという都合上、途中のストーリーは大きく変っていますがこちらは、それが見事に当たっています。
特に「ヤハウェの教会」でのトラップとジャンカー証の喪失。
ダークゾーンのクリーチャー。
遊園地エリアの鏡の迷路などプレイヤーを飽きさせません。
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自己保身。そしてジェミーへの恋慕だけで、世界の半分 を死に追いやった男。だが、彼女の心はスナッチ出来なかった。 |
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自身の腕の傷を見て仰天するランダム! 彼のアイデンティティは保たれるのか? |
CD-Romの新解釈版では、エリアは歳をとってもジェミーと自分の地位にすがる、見苦しい爺さんくらいの感じです。
ところが、こちらは、いつの間にかスナッチャー達に逆に利用されていた自分。そして、やがて訪れる自分の死をもってランダムを肯定するという悲哀すら感じるキャラとして描かれています。
ADVの方では、この後、エリアに捕らわれていたランダムが息を吹き返し、エリアを押さえ込みギリアン達をキラー衛星からのレーザー攻撃から逃がすというくだりになり、エンディングを迎えるのですが、このSDスナッチャーはこれだけでは終わりません。
エリア亡き後、彼の助言により、真のラスボスとの対決となります!
彼曰く、ラスボスは「ルシファーα」を更に強化した細菌兵器「ルシファーβ」を装備し、人類全体のスナッチを企んでいるとのこと。
最後のジャンカーとなったギリアンはジェミーを救出し、ラスボスを倒し、この恐怖と狂気、そして疑念の連鎖を止められるのか。
傷ついたランダムは、施設の破壊を遂行出来るのか!
彼らの未来への鍵は、プレイヤーであるあなたが握ってる!!
こちらのゲームですが未だEGG等のラインナップには姿を現しません。
希少な、けれどプレイする価値は大いにあるゲームです。
コナミさん、復刻を是非、検討してみて下さい!
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