2024年10月28日月曜日

源平討魔伝

売られた喧嘩は買わねばなるまい・・・

電波新聞社
起動直後FDが排出されてビックリ!
何と、ゲームはオンメモリです!!

恥ずかしながら、このゲーム、X68000(以下X68k)版を実際に見るまで、稼働している姿を見た事ありませんでした。

こんな私が何を言ってるんだって感じですが、X68k版について語りたいと思います。

以前もお話しましたが、「ゲームセンターでインベーダーゲームをしてはいけない」と、本気で生徒手帳に書かれているような地方のマイナー高校の周辺には、インベーダーどころかバクテリアンすら存在せず、最新のゲームに触れるには、友人たちと電車で数駅先の県庁所在地へ映画でも見に行った際に時間つぶしに寄ったゲーセンに、あれば遊ぶといった感じでした。
よって、サイクルの早いマイナーなテーブルゲーム等は、こちらの知らない内に新しい基盤へと移ろっているという事も珍しくなかったです。
○○のゲーセンに、「沙羅曼蛇」があるらしい、××のゲーセンにSEGAの「R360のアフターバーナー」がと、情報は入るのですが、主な移動手段がチャリという高校時代はゲームの為に、そこまで出張っては行けませんでした。

そんな中、またしても電波新聞社がX68kにて、新なブレイクスルーを起こそうとしていたのです。

何とあの「源平討魔伝」をX68kに移植するという話です。

電波新聞社

「源平討魔伝」は鎌倉時代を舞台に、滅びた平家の恨みを晴らすべく、主人公=「平景清」があの世から復活し、「弁慶」・「義経」といったボスキャラと戦いつつ、「頼朝」(!)のいる鎌倉を目指すといったストーリー。
と、ストーリーも仰天ならば、ゲーム内容も仰天の演出。
各キャラクターは音声取り込みで、喋りまくりますし、音楽も超ド派手。

電波新聞社
横スクロールモード

電波新聞社
BIGモード(ボスキャラ戦)

電波新聞社
平面モード

ゲームはトップビューで歩き回れる平面モード・マリオのような横スクロールモード・巨大なキャラクターが画面狭しと暴れまわるBIGモード(ボスキャラ戦)、の3つのモードで構成されています。

電波新聞社

横スクロールモードでも竜が暴れ回ったり、山の向こうから、「戯れは終わりじゃ!」と、巨大な頼朝が現れて景清を、これまた巨大な笏でバシバシと叩いてきたり、はたまた全編ダジャレの「ダジャレの国」があったりとプレイヤーを飽きさせません。

電波新聞社
こちらは義経さん。こんなキャラだったんですか?

また、BIGモード(ボスキャラ戦)では、突然虎が飛びかかって来たり、琵琶法師が鳥獣戯画?(毒キノコ)を投げて来たりと、独特な日本感が炸裂しまくっています。

電波新聞社

電波新聞社
先ず、「京都」を目指しましょう。
そこまでは前座だと言って良いでしょう。

各ステージは「鳥居」によって分岐・繋がっており、(時には隠れていたり、横スクロールモードでは最初の鳥居の更に向こうに別の鳥居があったりと)こちらを上手く選択することが攻略のキモとなっています。

ナムコット
こちらはファミコン版。
「ボードゲーム」の文字が・・・。

ナムコット
これは、これで楽しそうな気も・・・。

ナムコット

移植の第一弾はファミコン版(注1)でしたが、雰囲気の再現すら困難だったのか、全く別のRPG(タイトルにはボードゲームと表記)みたいな感じで移植された当ゲーム。
現代ならアーケードと家庭用機の性能差は限りなく低くなっていますが、当時はX68kを以てしてもその差は埋めがたく、プログラマーの技量が試される場面が多くありました。

電波新聞社
淡路はボーナスステージ。こちらで、なるべく
主人王の能力を上げておきましょう。

そんな中、「ア〇キー」刊のパソコン誌「Log〇n」のX68kのコーナにこんな記事が掲載されました。
(当時の雑誌を実家で漁ったんですが、発見できなかったので自分の記憶の要約になります。間違っていたら申し訳ありません。)

電波新聞社
こちらは砲丸投げ(?)弁慶さん。
この後、本当に「ぶんぶん回す」方も登場。

要約するとBIGモードの弁慶の鉄棒をグルグル回すシーンは専用基盤を使っているので絶対再現不可能だろうからスパっと諦めて、別の演出を検討したほうが良いでしょうね・・・的な内容だったと思う。

こちらに強く反発したのが「電波新聞社」の開発陣。
遂に完成となった「マイコンBasicマガジン」1988年5月号の完成・レビュー記事に於いて、「噂が流れて実現が心配された、あの「ぶるんぶるん」鉄棒を振り回す弁慶だって平然とした顔で暴れまわっています。」と、チクリ。

電波新聞社
相変わらず傾いてしまって、申し訳ありません。

喧嘩を売られたので買った・・・だが、それだけなのでしょうか?

この「源平」に於ける「神移植」こそが、電波新聞社、およびサードパーティーの移植に於ける新たな「マイルストーン」となったのではないでしょうか?

電波新聞社に「塩を送った」アスキー、それに技術のブレイクスルーで答えた電波新聞社の開発陣。

これを機に、電波新聞社のX68kに於ける移植度は飛躍的に向上し、名作「ドラゴンスピリット」・「ファンタジーゾーン」等、「完全移植」の上に更に付加価値を乗せた商品をリリースし続ける事となるのです。

つくづく、いい時代だったのですね~




注1:「源平」の移植版を語る際どうしてもハズせないのが、コナミからリリースされたソフト「月風魔伝」(ファミコン版)です。

コナミ

コナミ

コナミ

僕もイイ大人ですから、皆までは言いません。
でも、似てますよね?(爆
しかも出来が良い。
「ナ○コ」さんは、心穏やかではなかったと思います。

2024年10月19日土曜日

X68000 XVI(CZ-634C)

ヤツのパソコンを超えろ!

Sharp X68k

話を少し前に戻そう。
時に1986年の事である。
シャープ系「クリーンコンピュータ原理主義者」なら必ず観なければならないTV番組「パソコンサンデー」にて、とんでもないスクープが飛び出した。
当時どの会社のマシンでも再現不可能だった、コナミのグラディウスが4オプションで動いている。
完全再現を目指して開発されていたそれは、担当者にして、「1ドットでも違ったら腹を切る。」と言わしめる程 (注1)の拘りを持って作られているという。
鳴り物入りで発売されたTurboZ(注2)の存在を吹き飛ばす程のインパクトを、シャープユーザーのみならず、日本のPCユーザーに与えたTV事業部(注3)乾坤一擲の作「X68000」の登場である。
パーソナルワークステーションと銘打たれたその機体にはその実、「ワーク」では無く最新の「ホビー」が所狭しと詰まっていた。当時、ニューヨークにあったツインタワーを彷彿とさせる「マンハッタンシェイプ」。一度据えたらなかなか使う事のないキャリングハンドル。
アフターバーナーで初めて使用した人も多い?
トラックボールにもなるマウスとか。

凄い!」・「欲しい!」・「でも、買えない・・・。」
その、3フレーズが瞬時に日本中に溢れたに違いない。
当時の私は、大学進学が決まった、只の高校生である。これから、4年間親のスネを噛りまくるのに。モニターコミで約50万のパソコンなど夢のまた夢である。

まあ、しばらくTurboで遊ぶさと、夏休みに帰省した私の耳に、とんでもないない話が飛び込んで来た。

当ブログで既にお馴染み、常に一歩先を行く男、「Ryo」君が「X68000」を買ったというのだ。

矢も盾もたまらず、彼の家を訪ねた私の網膜にグレーの「マンハッタンシェイプ」が写し出された。

「よっ!」
勝ち誇った彼の声。
膝から崩れ落ちる私。
完敗だ。

・・・。
いや。
この際、勝ち負けは関係無い。
「ゲーム、ゲームを見せてくれぇ~。」
情けなく懇願する私に彼は、シャープのロゴが入った1枚のFDを見せてくれた。マシンのスイッチを入れ、それをドライブにセットする。
ウィーンと、小さな音がしてFDが吸い込まれて行 く。
おお、X68000はこんなところも自動なのだ。

やがて、X68000のロゴの後に、AppleのマッキントッシュのようなオシャレなGUIが。
何か、よくわからんけど凄い!

よく見ると中にGのマークのアイコンが!Ryo君が慣れた手つきでマウスを動かし、起動する。

Sharp X68k
良くも悪くもX68000のマイルストーンになった一本。
基盤と筐体を買う人もいたので、将来性を考えたら、
「超格安」という考え方もある。

Sharp X68k
コンシューマー版では、火山の噴火が終わると、一端
スクロールしビッグコアが現れる場合が多かった。
こちらは、ちゃんとその場でスルッと登場。感動した!

おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
凄い!スゴ過ぎるぜぇ!
未だハードウエアスクロールやスプライトすら装備していないPCが多い中、このマシンは潔いほどの割り切り具合。
「ゲーミングPC」なんて影も形も無い時代である。(注4)
そして、彼が他に所有していたのが、

Sharp X68k

Sharp X68k
意外に思うかもだが、PC版のXEVIOUS移植はここに
至るまで厳しいものがあったのも事実。(MSX2版除く)

「X」の名を冠するPCを所持するのであれば、買って動作を確認せねばならない。
「ゼビウス」
Ryo君曰く、もう「動いて当然」の世界との事。

Sharp X68k

Sharp X68k
画面も凄いが音楽も凄いのである。

「蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン」ユーラシア大陸統一とういう「光栄歴史3部作」屈指のスケールを持つ作品。超破天荒な姫様「ラッチ」さんの登場で、モンゴル編から始めたプレイヤーは、かなり有利に??
X1版が霞んでしまう、サウンド・ビジュアルショック!

という事で、時にRyo君宅で、最新のゲームを見せて貰っていた我々であったが、徐々に異変が起き始める。
友人の「 I 」君がACE-HDを、「 T 」君がProを購入したのだ。

こうしてX68000包囲網が出来上がって行く様を指を咥えて見るしかなかった私。
しかし、1991年、無事就職をさせていただき、給料というものが手に入る年代に。

そして無事に、(現代だったらあり得ないが)超過酷労働&超高額報酬の「虎の穴」的な施設に派遣も決まり、入社Ⅰ年目にして、当時発売されて間もないX68000 XVI(エクシヴィーと読む・16Mhzのクロック周波数に由来すると思われる)を購入。
既に入手していた専用アナログモニターと合わせ、X68000中興期の一翼を担うこととなる。

子供の頃は親を見てこう思った時もあった。
「ゲームやアニメ・マンガ・プラモなんかは、大人になれば卒業しているのだろう」と・・・。
・・・とんでもない話である。
会社で「一般人でございます」的な立ち位置の人も、僕が「その筋」の人と見るや、急に本音を出してくる。

どの人も、どの人なりに「こじらせ」ているのであった。

そして、我々は更なる16ビットゲームの世界へと墜ちてゆくのであった。




Ps.今回で50回目の記事になりました。無事キリ番となる回を迎える事が出来ましたのも、友人を含め、このページを訪れていただいている皆様のお陰であります。今後も自分流のゲーム愛について語って行く所存です。今しばらくお付き合い戴ければ幸いです。

2024年10月19日 Astronauts


注1:当時、担当者は「1ドットでも違ったら腹を切る。」とは、言っていなかったらしい。これはのちの「パソコンサンデー」でも否定された。まあ、それくらいの気概を持って仕事をしていただいたということだろう。確かに凄い移植である。

注2:X1TurboZ。
発表当時、「Z」は「ゼータ」と発音するのでは?だったら、後継機は「ZZ」「ダブルゼータ」?・・・といった話題が「oh!mz」(oh!X)誌上で盛り上がった。

注3:シャープという会社は、コンピューター部門に於いては「NEC」・「富士通」に比べれば、巨人の前の蟻であると揶揄される。そんなシャープのしかもコンピューター部門ではない、TV事業部から生み出されされたのが「パソコンテレビX1およびX68000シリーズ」などの「CZ」シリーズである。
ちなみに、コンピューター部門のマシンは「MZ」シリーズである。

注4:海外にはコモドールの「Amiga」というマシンがあり、時に「X68000」を「和製Amiga」と評する向きもあるが、実際のユーザーとして異を唱えたい。

2024年10月15日火曜日

スナッチャー PC-88版(3)

 ゲームが映画を超えた瞬間

SNATCHER

2)の続きです。

私が、まだ大学生の頃の話である。
卒業が確実なものとなり、就職も決まり、自動車免許も取得し、例のバイトも順調な頃の話である。
久々に、大学を訪れた私は、お世話になっているゼミの教授の元を訪ね、就職の報告をしていた。

以前、年齢を尋ねた際に50代半ば、との答えだったその教授は、就職を大層喜んでいただき、研究室にて、コーヒーを振る舞っていただいた。

しばし、とりとめのない話をした後、思い切って、切り出してみた。

「実は、ゲーム会社に就職してみたくなったのです。」
「ふむ、それは何でだい?」

世はバブル末期の超売り手市場、高校生だったら先生にぶん殴られもおかしくない所業である。
ロマンスグレーの教授は、落ち着いた様子で、続けた。

「話してごらん。」




ゲームをプレイして驚いたのがリアクションの多さ。

SNATCHER

ちょっと笑ってしまう話がら、グッと来る話まで盛りだくさんです。

SNATCHER
悲劇のヒロイン、「カトリーヌ」。だが、
思わず「○の証明」を見せてしまうのだった。

例えば当時、堀井雄二氏の「軽井沢誘拐案内」のリアクションの多彩さが有名でした。
一度、各方面を聞いて回ったあと、もう一度その場所を訪れると「そう言えば、思い出したんだけど・・・。」と、更に突っ込んだ情報を聞ける様になるというものでした。
これを「軽井沢~」では、2章に分け、計4回情報収集が出来ました。
そして、各方面で、「もう、これ以上はわからない~」と、言われると情報収集が完了したので、どこかへ次のステップへのフラグが立った目印になっていました。

SNATCHER

しかし、「スナッチャー」です。調べる所は多く有りますし、答えも多彩です。
設定も多いので必要の無い豆知識、設定の解説もばんばん喋って来ます。

SNATCHER

ここは一つ、本当に「ランナー」の一人となった気持ちで、情報の取捨選択を行いましょう。

SNATCHER

AVGに慣れていない方のファーストプレイは、次のシーンへの情報(住所等)を入手した時点で、切り上げるくらいの勇気が必要です。
そうそうハマるような事はありませんが、実際の捜査でも、「人」・「場所」で、得る情報は無限にあると思われます。

新しい場所の情報を得た。

相手の顔の特徴が解った。

SNATCHER

・・・くらいで、進んでいけば、スピード感あふれるスリリングな展開を味わうことが出来るでしょう。

また、AVGに慣れている方、周回プレイの方は、より、突っ込んだ捜査がオススメです。
特に「アルタミラ」・「ジョイ・ディビジョン」前の雑踏。また「アウターヘブン」内のお客のコスプレの出自を調べるのも面白いですね。

SNATCHER

また、ジャンカー本部内でガウディーに情報を聞きまくったり、シューティングブース(ジャンカーズ・アイ)で訓練するのも面白いです。

特にゲームと関係ないのですが、別居中の奥さん「ジェミー」をデートに誘ったり、カトリーヌに「○の証明」を見せるのも面白いですね。

SNATCHER

あ、この辺りは、「PCエンジン版(ミニ版含む)」が、さらにブラッシュアップされており、オススメです。

PCエンジン版の話が出たので、それぞれの「スナッチャー」の移植版の解説をしていきたいと思います。

PC-88版:今回、解説に使ったバージョン。PCエンジン版との違いは、ACT3が無い!・・・ということに尽きますが、ある意味、「ミロのビーナス」(腕が無い彫刻)「サモトラケのニケ」(顔・腕が無い彫刻)のように、ACT3が無いことによるある種の潔さがあり、1つの作品として完成度はむしろ高い感がするのは私だけでしょうか?

個人的な感想として、「小島監督のAVG作品」は移植よりも「初期バージョン」にこそ価値があると感じるのですが、如何でしょうか?

「ポリスノーツ」にしても、コンシューマー機の移植版のオープニングは、発端となった事件のあらましが解りやすくなっており、好感が持てますが(こちらはコナミの所為ではないのでしょうが)外注のアニメパートが余りにも雑です。

特に、「ロレイン・北条」などは、PC版では年齢を重ねても品のある美しい顔立ちの方ですが、アニメだと「誰?」というレベルです。

POLICENAUTS
PC-9821版:主人公「ジョナサン」の元妻
「ロレイン・北条」

POLICENAUTS
コンシューマー機版、一発で「ロレイン!」と、
言い当てたジョナサンて凄い!
僕なら取りあえず「誰?」と聞いただろう。

おっと、話題が逸れました。
こちらは、PC-88というハードが希少となっている事や、FDの状態(高温によるカビの発生等)により、遊ぶことは困難となりつつあります。(いかがでしょう?EEGさん?)

MSX2版:FDとSCCカートリッジ(注:1)がセットになった商品。SCCの音は良く出来ており、むしろこちらの音の方が良く似合っているのでは?と、思う曲もあるくらいです。

SNATCHER

SNATCHER
MSX2版は良く出来ているのだが、画面が少し
削られている。この場合、局長の後ろの窓からの
「100万クレジット」の夜景が見えなくなっている。

こちらも、上記の理由により、現在では遊ぶ事は困難となりつつあります。

PCエンジン版:CD-Romの大容量を活かして、豪華声優陣が喋る!

SNATCHER

遂に「ACT3・JUNK」が追加!
良いのは良いのだが、「ACT1・2」の様な、骨太の捜査を期待していた自分には、「立て板に水」過ぎてちょっと肩すかしを食らったような感覚がありました。(注:2)

MEGA-CD(海外のみ)版:以前話したようなシーン追加もあり、捨て難い部分もあるのだが、音楽(オリジナル?合っていない)・パロディーシーン・用語の改変がある。
日本語で、ちゃんとしたモノをMEGA-CDで出してくれていれば・・・と、メガドラユーザーだった身から、思ってしまう。

SNATCHER

PlayStation版:これは・・・。

SNATCHER

SNATCHER
 
「残念」
としか言えない移植。
OPにマニュアルのマンガでランダムの「ハンターだ。」のシーンと、ジェミーとギリアンの会話シーンを中途半端に再現
・・・だが、壊滅的に取って付けた様なCG。勿論喋らない。字幕も出ない
ゲームの解像度がPCエンジン版より低い。

SNATCHER

アウターヘブンのキャラがコ○ミキャラに・・・。
リ○の胸が隠れている。(これは、現代ではしょうがないか・・・?)
アリス(犬)の残虐シーンが隠れている。
○ルグのシーンがモザイクだらけ。
・・・一体、何のために移植されたんじゃ?
小島監督が「遊ばないで」というのも解ります。

SEGA SATURN版基本は「PlayStation版」に準拠。(残念)
が、モ○グのモザイク等は無くなりました。ラストでバトルシーンが増えています。

SNATCHER

PCエンジンmini版:満を持して発売された「PCエンジン・ミニ」。

SNATCHER

突然発表されたCD-Rom2移植タイトルの中に「スナッチャー」の文字が!
期待と不安が入り交じる中、通しでプレイ。
今の所、○サの胸以外大きな改変なし!
現在遊べるもので「最良」の選択であると思われます。
他の収録ソフトも現代の基準に合わせて細かな修正を行っているようですが、壊滅的な修正はありませんでした。担当者の愛すら感じる商品。

遊びたい人は、価格が落ち着いている今の内に購入するのが吉でしょう。



さて、閑話休題。



実際にゲームをプレイしていると気付くのですが、このゲーム、実は骨太の推理物なのです。

SNATCHER

「ブ〇ード・ランナー」や「〇ーミネーター」の様な外観は、本当にオマージュに過ぎません。

SNATCHER
突然目の前に現れた死体。しかし、怯んではいけない。
彼らの無念を聞き取るのだ!

SNATCHER
明らかになる衝撃の事実。伏線は多くあった。
だけど、本当に驚きました。

通常、そんなビッグタイトルのオマージュを行うと、再現のみに力を入れてしまい、内容がおざなりになってしまったり、ストーリー自体が原作の方に引っ張られて、単なるサイドストーリー的な作品と化してしまいがちですが、そこは流石「小島カントク」、推理・科学・医学的知識等を総動員して、8ビットAVG中最高峰のストーリーを破綻なく紡いでゆきます。
それでいて、重くならず、軽妙なギャグも挟み込んで来るセンスは、メタルギア等で見せた「MSXノデンゲンヲキレ」的な、「これは、映画じゃない「ゲーム」なんだ!」と、逆に胸を張って主張しているような感すらあります。

SNATCHER

SNATCHER

SNATCHER

そういう新しさを出しつつも、ストーリーの雰囲気は「浪花(小島)節」です。

SNATCHER

SNATCHER

「○○さん、仇は取ったぜ」
「○○、遅くなったが借りは返したぜ」
など、アツいセリフが、ガンガン出て来ます。
 
気が付けば同じシーンを繰り返しプレイしている自分が居ました。

そして気が付きました。これは、遂にゲームが映画を超えた瞬間を、体験している・・・と。
映画を観ているとき人は常に受け身です。
画面に干渉したりストーリーを止めて考察したり。
また、その場に置いてあるアイテムの設定を深く掘り下げてみたり。

勿論、これはどんなゲームにも当てはまるものではありません。

コマンド選択式を採用していても、フラグ管理がガチガチ過ぎて、閉塞感しか感じないものも多くあります。

小島監督のAVGだからこその演出、世界観、自由度が、そこにはあります。

プレイヤー毎に物語を紡げるAVG。
これこそ、真のオープンワールドなのかも知れません。
 
SNATCHER
この画面・・・どこかで・・・?
 
SNATCHER
 
SNATCHER
誰がこんな事を!許さん!!

・・・気づくと堰を切ったように、僕は「スナッチャー」というゲームの可能性についてかなりの熱量を持って語っていました。

目の前の教授は、僕の言っていることを遮ること無く、最後まで聞いてくれました。

「そんな凄いことが起こってるんですね。ゲームの世界では。」
「そう、そうなんです!」

「で、貴方は、この業界で何をやりたいのでしょうか?」
「・・・・。」

言葉が出なかった。このゲームの素晴らしい点を話せば話すほど、自分に立ち入る隙など1ミリも無いような気がしてきた。

教授は優しくこう続けた。

「貴方の書いた論文は、とても楽しかったし、絵心もありますね。」
「ここは、1つ社会に出てみて、彼らには無い感性を育ててみては?」

「それからデビューしても、遅くないと思いますよ。」




僕は、地元へ帰り内定を頂いていた会社へ就職した。
そこで、妻と出会い現在の家庭を持つに至った。

人生とは解らないものだ。

教授の悪戯っぽい笑顔を思い出した。

SNATCHER




注1:このスナッチャーに付属していたSCCカートリッジですが、BASIC上で使えるようMML(GORRY氏作)が開発され、ベーマガ誌上で音楽の投稿に使用されたり、後に発売されたMSX2用のコナミゲームコレクション(FD版)では、これまで発売したMSX1のソフトをSCC対応にアップデートしたり、地味に活躍するのでした。

注2:
注意・ネタバレがあります!

実は、PCエンジン版のエンディングですが、SDスナッチャー(ゲームのストーリーは全然違いますが)のそれとほぼ同じなのです。
以前小島監督が、ラジオで解説した際に、エンディングについて「以前から決まっていた。」と言っていたのは、正に本当の事だったということが良く分かります。
また唯一PCエンジンと違うのは、もう一人生き残っている人がオチ(?)で登場します。
それは、ご自分の目で確認頂きたいので書きませんが、とても頼もしい方です。

SNATCHER
「??・・・誰の事だい?」

と、言うことはPCエンジン版でも・・・?
やっぱり、監督、「ロシア・激闘編」頼みますよ~!!