2024年9月4日水曜日

三國志 X1turbo版

太古のロマンに思いを馳せて


三国志

かつて都だった地の大河を、若い男が眺めていた。すらりとした美丈夫で、柔らかだが、野心を秘めた瞳は、揺蕩う川面より先の遥か未来を見据えていた。

「この河は、何処から来て、何処へ注いでゆくのだろう?」

数刻経っても、男の姿はそこにあった。

「そこの方ァ~、乗られますかァ~?」

不意に声を掛けられる。

見ればいつの間にか川岸には、観光船が停泊していた。
男は少しはにかみながら、「客ではない」と手振りで船頭に伝え、ようやく川岸を後にした。

刹那、風が一陣巻き起こり、川岸に植えられた桜の花を散らす。

男ははっと、その光景を見つめていた。

男の心は決まった。

やがて、彼は事業を興し、やがて、そこには、きら星のごとき英傑達が集い始める。

男の名前は「陽一」。名字は「襟川」。
ペンネーム「シブサワ・コウ」。

ゲーム企業「光栄」(現、コーエーテクモゲームス)の代表取締役兼プロデューサーである。


さて、「吉川英治」氏の三國志の導入部になぞらえて、小説風に書いてみました。「シブサワ・コウ」さんのイメージは、黎明期の「ゲームセンター「CX」」(注1)のインタビュー等を元に、若かりし「劉備玄徳」を重ねております。

実在の人物ということで、どう書こうかなと思ったのですが。不快に思われたら、申し訳ありません。

コーエーという会社は、もともと染料メーカーだったそうで、それを襟川氏が一代で巨大なゲームメーカーに成長させたわけで、「信長」や「三國志」を地で行く企業です。

そんな会社ですが、当時のパソコン誌の広告には、「三國志」・「信長」の他にも、「ナイトライフ」(注2)や、「団地○の誘惑」等アダルトソフト?も掲載されており、「三國志」というタイトルも、少年が購入するには、なかなかハードルが高かったです。(注3)


三国志
ノーマル版のパッケージ。何だか・・・怖い?

何せ、普通より一回り大きい黒い正方形のパッケージに真っ赤な人間が3人並んでいる・・・。

そんな攻めたパッケージです。

オジさん向けの強壮剤もかくやという感じで、とても買う勇気はありません。

そんなソフトを「面白そうだ、やってみたい!」と、あっさり購入したのは、お馴染み、1歩先を行く男、Ryo君。

彼のturboⅡで初めてプレイする事となるのです。


三国志
シナリオは5通りから選べます。

三国志
全員ではないですが、8人同時プレイも可能。
我が家では学校帰りに寄った友人たちが常に
プレイしているという。凄い世界に・・・。

やがて、自分のmodel10もturbo化、三國志のプレイが可能になりました。

他の方はどうか知りませんんが、自分は「三國志」という物語を、なんとなく・・・くらいしか知りませんでした。

それこそ、当時、日本テレビ系で2回に分けてアニメ特番があり、それを見た事があったくらいで、各武将の名前も、劉備・曹操・関羽・張飛・孔明くらいは知っていましたが、それ意外はサッパリでした。

三国志
さて、シナリオ1スタートです。いきなり貧しい。

三国志
とりあえず軍司の助言が欲しい。5「人材登用」を
選択。

しかし、我が家に遊びに来ている人々の思い入れは、ちょっと引いちゃうくらいで、孔明が、子龍が、周瑜がと、多人数プレイで熱くなっていましたね。

三国志
左がノーマル版・右がturbo版。
同じシチュエーションでも
独自の顔グラフィックで&漢字表記で、
全然雰囲気が違います。

そして、ついに、友人の更に友人という人が現れて、我が家に置いていったのが三國志のturbo専用バージョン!!

三国志
特に有難いのが一覧表示が出るようになった事。
武将の管理が超ラク!

これは、初代「三國志」の完全版とでもいうべきもので、有名武将の顔グラフィックの追加・計略コマンドの追加・400ライン対応・漢字対応・FM音源対応と、至れり尽くせりの内容でした!

三国志
「地震」のイベントも発生するようになりました。
大地震が起きたら城が壊れて武将が亡くなる事も。

このゲームですが、実にバランス良く出来ており、「初代にして完成形」という評価をする人も多いようです。

実際、自分もグラフィック、シンプルだけど奥深いシステムは「1」が一番好きで、今でも、思い出した様にプレイしてしまいます。


三国志
太守を引き抜くことで、国をひっくり返す事も可能。
他の武将は一気に「在野」落ち。
さて、逃げ場は塞いだ。「董卓」覚悟!

特に「信長の野望」(無印)と違い、配下武将の引き抜きが、アツい!(注4)

特に知力の高い武将を配下にした場合は、「軍師」として助言してくれます。

それが斬新で、いろんな武将の知力を上げて(書物を与えて)喋らせたりしてましたね。


三国志
知将の火計は、計略と合わせると超強力!
行動力を奪って、火を掛けるなんて・・・。


三国志
「董卓」さん。ちょいとやりすぎましたね。
このあたりで退場願います。

また、「戦」がかなり進化したのも良かったですね。信長の野望では使うことの出来なかった、「火計」が、かなり凶悪で、使い様によっては、大軍を撃退出来たりします。


三国志
風の向きにもよりますが、火計は協力!
風向きが変わりませんように・・・。

また、知将の「計略」&「火計」のコンボ・「一斉攻撃」による各個撃破・地形を利用して敵を誘い込んだりと、まるで本当に軍師になったような気分でゲームを楽しめました。

また、僕や友人達もそうですが、このゲームを入口として「横山光輝」氏の漫画版、又は、「吉川英治」氏の小説版へと知識を広げた人も、少なくないのではないでしょうか?

色々な意味で、ゲームという枠を越えた素晴らしいゲームだと思います。


三国志
統一まであと一息。苦労が報われる瞬間

FDが擦れて、時々エラーを吐く程遊ばせて戴きました。


お・ま・け

このゲームの音楽を担当されたのは「カウボーイ・ビバップ」等の音楽で名を馳せた「菅野よう子」さん。

「信長の野望」シリーズも初期のものは彼女の手によるものです。

どちらのシリーズも、タイトルロゴの音楽は、初代のそれを踏襲しております。



注1:タイトルロゴに、鉤括弧が付いている頃。2期より外れる。番組初期の頃は、ゲームメーカーのクリエイターへのインタビューが、メインだった。

注2:実際は実用ソフト(?)新婚さんへのプレゼントに最適みたいな事が書いてあったような・・・。

注3:当時「ファミコン」と同額の超強気な価格設定。内容的にはそうなった理由も解る。

注4:「信長の野望」も3作目の「戦国群雄伝」にて配下武将に対応。

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