2017年10月29日日曜日

サラダの国のトマト姫X1(テープ版)

夏と、テストと、アドベンチャーゲーム

princess tomato in the salad kingdom
オープニングとエンディングでは音楽が流れます。

 照りつける太陽によって、白と黒とのコントラストがハッキリした、田舎の家並み。
 人影は一切見えないが、各家々からは、正午を知らせる有線放送が何となく聞こえてくる。
 蝉の声がけたたましく響く中、黙々と自転車のペダルを漕ぎ、ようやく家に帰り着く。
自転車を納屋に仕舞い終わると、土間に置いてある冷蔵庫に向かい扉を開ける。
 数年前に購入した新しい冷蔵庫によって、台所から引退したそれの中には、親父のビールと、農協で共同購入されたサイダーがぎっしりと冷やされていた。
 その中からサイダーの瓶を一本取り、台所の食器棚から栓抜きと、グラス(サイダーケース買いした際の記念品だ)を持ち出す。
 向かった座敷の隅には、真っ赤なパソコン。壁には、この夏設置されたばかりの、我が家初のエアコンがあった。
 エアコンとパソコンのスイッチを入れ、ピンク色のカセットテープを挿入し読み込ませる。
 サイダーをちびちび飲みながら、部屋が程よく熱気から解放されて来ると、パソコンが軽快な音楽を奏で始めた。

 画面には美しいグラフィックで「サラダの国のトマト姫」(以下「サラトマ」)のタイトル画面。

 前作、「デゼニランド」と並ぶ、ハドソンの名作AVGである。

princess tomato in the salad kingdom
コマンド入力は英語に加え日本語もOKになりました。

 ビデオカードの進化により、3Dによって多彩な表現が可能となった現在に比べ、昔のパソコンは、ちょっとした2Dアクションですら苦しかった。
 そんな中生まれてきたのが、紙芝居風の絵や文章をヒントに、コマンド入力によって物語を進める、アドベンチャーゲーム(以下AVG)だ。

princess tomato in the salad kingdom
前作に比べ、格段に進化したグラフィック!

AVGの醍醐味は、なんと言っても、グラフィックとストーリーがダイナミックに展開していくこと。
 どちらかというと、アクションゲームが苦手な私は、じっくり考えながら進めてゆけるAVGが大好きでした。パソコンならではの美しいグラフィックも堪能できますし。

princess tomato in the salad kingdom
凝った構図のグラフィックを見てるだけでも楽しい。

 さて、この「サラトマ」ですが、今回はグラフィックにプロの方を起用したとのことで
、当時としては凝った構図の美しい画面が次々と現れます。
 シナリオも、前作に比べて理不尽さがなくなり、純粋に世界観を楽しめる、程よい難易度となっております。(といっても、難しい箇所もあるが・・・)

princess tomato in the salad kingdom
このお方が反乱軍の作戦本部長。かわいいです!

 でも、そんな事より、素晴らしいのは、野菜の国でキュウリの戦士となって、大活躍するというアイディア!
 主人公はこの世界でSWよろしく反乱軍の一員となり、時にはロボットを操り、時にはライトサーベルで敵をなぎ倒しながら冒険を進めて行きます。
 カセットテープなのに、1回のローディングで表示される画像が多く、次々と美麗なシーンが展開していくのも楽しいです。

 「シュタインズ・ゲート」等で知られる志倉千代丸さんも、このゲームの大ファンで、新会社設立前の一時、自分たちを「かぼちゃ一族」と名乗っていた程だそうです。(小島秀夫監督のヒデラジより)

princess tomato in the salad kingdom
サラダの国では神様も野菜(果物)です。

 今回、久々に「サラトマ」の世界に触れ、学生時代の夏の日が脳裏に蘇って来て、懐かしい思いに浸る事が出来ました。

 リアルなグラフィックを至上とする現在では、もうこういったゲームに出会うことは無いのかも知れませんね。
 技術の進歩と、ビジネスモデルの確立は、ゲームから可能性を奪っていっているのかも?
 ふと、そういう思いが胸をよぎります。

 おっと、話が逸れましたので、本日はここまでにしたいと思います。

 え?

 テスト中に遊ぶばっかりしてたんで、もちろん成績は赤点でしたけどね。
 英語の辞書だけは、AVG用に大活躍しましたが・・・。

Shrap CZ-503F

我が家にFDDがやって来た!

CZ-503F
ようやくIPLの画面で、「F」が使えます。

 このブログにて何度か触れたように、X1シリーズに搭載されているカセットレコーダーは、APSSという技術で、疑似ランダムアクセスのような事が出来る。
 その恩恵もあって、他機種では発売されなかった、ザナドゥのカセットテープ版なんてゲームもプレイする事が出来た。

 しかし、技術の向上と大作化が進むと、新たに発売されるゲームはフロッピィディスク専用のものが大半を占めるようになって来た。

 X1所有する友人達も、いつの間にやら、turboやturboⅡといった上位機種へシフトして行き、遊びに行く度に「ザナドゥシナリオⅡ」や「三國志」などの大作ゲームを羨望の眼差しで見つめるという時が続いていた。

 そんな悶々とした日々が続く中、愛読している「Oh!MZ」誌に心躍る情報が!
 Sharpから、1ドライブではあるが5万円台でフロッピィディスクドライブ(以下FDD)が発売されるというのだ!
 ブルーレイなどの光学ドライブが1万円を切る価格で投げ売りされている現在からみると、かなり高額に感じられるかもしれないが、当時の純正FDD(2ドライブ)は愛機X1ckがもう1台買えてしまう程高かった。

 おねだりやら、お年玉やら、お小遣いやらを兄弟揃って総動員し、ようやく夢に見たFDDが我が家に!
 これまで使用できなかった、IPL画面の「F」の項目がようやく使用出来ます。

 さて、念願の商品も手に入れたところで、やはり、何はともあれゲームです。
 狙っていたのは他でもない、光栄の話題作「信長の野望・全国版」。

あの信長の野望が大幅にスケールアップ!

夢にまでみた全国プレイがついに・・・。

 初代「信長の野望」にてシミュレーションゲームの面白さにハマった私。
 前昨では、16国しかプレイ出来なかったが、それが、今作では大幅にスケールアップし、50国モードもあるという。プレイ出来る大名も、織田信長と武田信玄の2名から、全国どこからでも選択が可能に。

 まさに、夢のゲームである。

 三國志は物理的に不可能だが、俺はこれを心ゆくまで遊ぼう。
 そう思い、(都合で行けなかった私は)友人になけなしのお金を渡し、「全国版」を町に買いに行ってもらった。

 ・・・さて、賢明な当時のパソコンゲーマーはお気づきだと思うが、待ち焦がれた「夢のゲーム」を手にした私が、パッケージに記載された「2ドライブ専用」の記載に、失意のどん底にたたき落とされた事は言うまでもない。
 だって、雑誌の広告には書いてなかったんだよ・・・ぶつぶつ。

 かくて私の「全国版」はturboⅡ所有の友人宅へ無期限貸し出しとなり、彼のプレイする様を羨望の眼差しで見つめるという時は続くのであった。(涙)

やっぱり俺は初代でいいや(涙)

2017年10月26日木曜日

眠れるデバイスに灯を点せ!

あの素晴らしい音をもう一度!

Roland SC-88STPro
現在でも美しい音は健在。
思わず聞き入ってしまいます。

 パソコンもPC-98やX68kなどの16ビット機が主流になってくると、グラフィックの向上とともに、サウンド面もMIDIという外部モジュールに対応するものが多くなって来ました。
 かくいう私も、友人から貸してもらったMT-32を皮切りに、SC-55mkⅡ、SC-88STProと、(作曲の趣味も無いのに)1クラス上のゲーム環境を手に入れるためだけにモジュールを購入するという、硬派なDTMファンの方から怒られそうな事をしておりました。

 そんな我が家のMIDIですが、Windowsパソコンの普及と共にゲームの音源として使用される事は無くなっていき、ハイパースレッディングCPUの登場の際にRS-MIDIケーブルのドライバー、Windows10になった際にはUSBのMIDIインターフェイスのドライバーがリリースされなくなり、壊れてもいないのに使用できないという状態が続いておりました。

 そんななか、ふと目にしたサイトに興味を引く記事が掲載されていた。

 「loopMIDI」と「Hairless MIDI Bridge」というソフトを使ってRS-MIDIを使用するというものだ。
 これが上手くいくのなら、新しい機器を導入することなく、押し入れで眠るケーブル1本で我が家のMIDI環境を復活出来る。
 
 半信半疑でソフトを導入してみた。

 まずPCのComポート(懐かしい・・・)と、MIDIをRS-MIDIケーブルで接続。おっと、背面のスイッチをPC-2に切り替えるのもお忘れ無く。

 仮想MIDIケーブルソフト「loopMIDI」を導入。
 MIDIポートを作成します。


 続いて、「Hairless MIDI Bridge」を導入。
 シリアルポートにMIDIを接続したComポートを、MIDIInに「loopMIDI」で作成したMIDIポートを指定します。
 そして、左上のBridge Onにチェックを入れると・・・。
 
それぞれを指定してゆきます。
 
 ・・・う~ん。
 エラー吐きまくりなんスけど・・・。(汗)
 試しにデータを流してみても、やはり音は流れない。

 もう一度接続を確認してみたが、別に問題は無いようだし・・・。

 悩んだあげく、ネットに答えを求め検索を行っていると、英語でよく解らないが、Comポートのボーレートを38400に的な事を書いてあるページを発見。
 ダメ元で設定してみると・・・。

「Hairless MIDI Bridge」を設定し・・・。
デバイスマネージャーから、Comポートも設定。

 おや、エラーが消えた。
 試しにX68kエミュレーター「XM6TypeG」を起動。
 設定画面にてMIDIの出力を「loopMIDI」で作成したMIDIポートに指定します。

非常に完成度の高いエミュレーターです。

 試しに、コナミの傑作「悪魔城ドラキュラ」を起動してみます。

Castlevania for x68k
X68k版悪魔城ドラキュラ。傑作です!

 出し抜けに、ローディングのBGMがMIDIから!
 もう、聞くことは無いと思っていたので感動もひとしおです。
 FM音源も頑張っていますが、やはりMIDIはいい。
 久々に長時間プレイ。気がつけば、狼女も倒していました。

※メーカー純正ソフトではないので、導入は自己責任でお願いします。