夏と、テストと、アドベンチャーゲーム
オープニングとエンディングでは音楽が流れます。 |
照りつける太陽によって、白と黒とのコントラストがハッキリした、田舎の家並み。
人影は一切見えないが、各家々からは、正午を知らせる有線放送が何となく聞こえてくる。
蝉の声がけたたましく響く中、黙々と自転車のペダルを漕ぎ、ようやく家に帰り着く。
自転車を納屋に仕舞い終わると、土間に置いてある冷蔵庫に向かい扉を開ける。
数年前に購入した新しい冷蔵庫によって、台所から引退したそれの中には、親父のビールと、農協で共同購入されたサイダーがぎっしりと冷やされていた。
その中からサイダーの瓶を一本取り、台所の食器棚から栓抜きと、グラス(サイダーケース買いした際の記念品だ)を持ち出す。
向かった座敷の隅には、真っ赤なパソコン。壁には、この夏設置されたばかりの、我が家初のエアコンがあった。
エアコンとパソコンのスイッチを入れ、ピンク色のカセットテープを挿入し読み込ませる。
サイダーをちびちび飲みながら、部屋が程よく熱気から解放されて来ると、パソコンが軽快な音楽を奏で始めた。
画面には美しいグラフィックで「サラダの国のトマト姫」(以下「サラトマ」)のタイトル画面。
前作、「デゼニランド」と並ぶ、ハドソンの名作AVGである。
コマンド入力は英語に加え日本語もOKになりました。 |
ビデオカードの進化により、3Dによって多彩な表現が可能となった現在に比べ、昔のパソコンは、ちょっとした2Dアクションですら苦しかった。
そんな中生まれてきたのが、紙芝居風の絵や文章をヒントに、コマンド入力によって物語を進める、アドベンチャーゲーム(以下AVG)だ。
どちらかというと、アクションゲームが苦手な私は、じっくり考えながら進めてゆけるAVGが大好きでした。パソコンならではの美しいグラフィックも堪能できますし。
凝った構図のグラフィックを見てるだけでも楽しい。 |
さて、この「サラトマ」ですが、今回はグラフィックにプロの方を起用したとのことで
、当時としては凝った構図の美しい画面が次々と現れます。
シナリオも、前作に比べて理不尽さがなくなり、純粋に世界観を楽しめる、程よい難易度となっております。(といっても、難しい箇所もあるが・・・)
このお方が反乱軍の作戦本部長。かわいいです! |
でも、そんな事より、素晴らしいのは、野菜の国でキュウリの戦士となって、大活躍するというアイディア!
主人公はこの世界でSWよろしく反乱軍の一員となり、時にはロボットを操り、時にはライトサーベルで敵をなぎ倒しながら冒険を進めて行きます。
カセットテープなのに、1回のローディングで表示される画像が多く、次々と美麗なシーンが展開していくのも楽しいです。
「シュタインズ・ゲート」等で知られる志倉千代丸さんも、このゲームの大ファンで、新会社設立前の一時、自分たちを「かぼちゃ一族」と名乗っていた程だそうです。(小島秀夫監督のヒデラジより)
サラダの国では神様も野菜(果物)です。 |
今回、久々に「サラトマ」の世界に触れ、学生時代の夏の日が脳裏に蘇って来て、懐かしい思いに浸る事が出来ました。
リアルなグラフィックを至上とする現在では、もうこういったゲームに出会うことは無いのかも知れませんね。
技術の進歩と、ビジネスモデルの確立は、ゲームから可能性を奪っていっているのかも?
ふと、そういう思いが胸をよぎります。
おっと、話が逸れましたので、本日はここまでにしたいと思います。
え?
テスト中に遊ぶばっかりしてたんで、もちろん成績は赤点でしたけどね。
英語の辞書だけは、AVG用に大活躍しましたが・・・。