2020年5月31日日曜日

うっでいぽこ

カワイイ姿に騙されるな!


うっでいぽこ X1
「皆さんおめでとう良かったね」って、何でしょう?

信長の野望・全国版」は、プレイ出来なかったけど、折角FDDを接続したのだから、FDのゲームがプレイしたい・・・。
そう思いつつ、何となくパソコン情報誌「ログイン」の新作紹介の記事をパラパラとめくっていると、目を引くソフトがあった。
ほのぼのした独特のセンスあふれる世界観。特に、今まで見た事が無い色使いの美しいグラフィックに、私の心は釘付けになった。

「ヴォルガード」や、「フラッピー」。また「ハイパーオリンピック84」の良移植でX1ユーザーには馴染みのある北海道の雄、デービーソフトの「うっでいぽこ」である。

かくて、X1に移植されると早速購入した私。
初めてのFDメディアの起動に、ワクワクが止まりません。

そして、私の目に飛び込んできたゲーム画面は・・・。

うっでいぽこ PC-8801SR
こちらがパソコン情報誌なんかに掲載されていたPC-88版のゲーム画面。
アナログパレットが使われており、解像度も高い。
うっでいぽこ X1
こちらがX1のゲーム画面。デジタル8色は致し方ないとしても、
解像度は640×200にならないものか…と、当時は思ったものです。

あれ、何か思ったのと違う・・・。

あからさまに低い解像度。そのせいか、画面は原色そのままでギラギラした印象。
雑誌に載っていた、落ち着いた色使いとはかけ離れたグラフィックに、軽く衝撃を受けながらもゲームをスタート。

森の草原に立つ主人公「ぽこ」。
ゲームパッドを右に入力。

・・・しかし、もっさりした動作だな。

主人公は草原をのそのそと歩いてゆきます。
フィールド上には、恐らく敵とおぼしき狼もうろついています。ぶつからないようにかわそうとしたら、狼はクルッとUターン。ぶつかってしまい主人公のPOWERが下がります。
逃げるように隣のフィールドへ。
画面が切り替わると、すぐ近くに狼が居て、更に接触。「ぽこ」はクルクル回ってゲームオーバーになりました。

うっでいぽこ X1
この先、この画面を何度も見る事に・・・。

気を取り直して何度かプレイしていくうちに、少しづつ先へ進めるようになりましたが、手詰まりになり、初見プレイはそこで力尽きました。

うっでいぽこ X1
「げんさん」は序盤にあるまじき凶悪キャラ。

とにかくフィールドが凶悪。

動作のもっさりした主人公に対して、敵キャラはトリッキーです。
お店が配置されている画面には、無敵&動作が速い&お金を取られる「げんさん」が居て、まごまごしているとあっという間に所持金を取られて殺されるので、おちおち買い物も出来ません。

うっでいぽこ X1
時間経過で夜になります。お店は閉店し、敵は更に凶悪に。

また、時間の概念もあり、慎重にプレイしているとあっという間に夜になります。
夜になると、敵キャラが更にパワーアップ。それを防ごうと敵を一掃したりすると、更に恐ろしいことが起こります。

ゲームは、ほぼノーヒントで進行するため、常に試行錯誤を繰り返していく訳ですが。上記の仕様のため気を抜く暇もありません。
ガチャガチャと耳障りな、PSGによるBGMもイライラを募らせます。

結局、(自分の勝手な思い込みですが)ほのぼのとしたフィールドを心ゆくまで探索出来るアドベンチャー色の強いゲームだと思っていたのですが、アテが外れたのと余りの難易度に心が折れた私は、「信長の野望・全国版」の友人宅へ、このゲームを無期限貸し出ししたのです。

うっでいぽこ X1
夜になったらとっと宿泊したいとこですが、宿が遠く離れていたり、
お金に不自由していたりで、屋外で夜明かしするケースも多い。

・・・しばらくして。

かの友人から信じられない感想が。

「すげーぞ!このゲーム!」

一瞬耳を疑いました。
訳が分からないまま友人宅を訪れた私は、信じられない物を目に(耳に)します。

これまでのゲームで聞いた事も無いクオリティの高いサウンド。
そう、彼は常に我々の一歩先を行く男。愛機turboⅡには、当時発売されたばかりの「FM音源ボード(CZ-8BS1)」が搭載されていたのです。

うっでいぽこ X1
「なつ」のステージ。
ポーズを掛けて、ずーっとBGMを聞いていました。

ゲームの腕も一枚上手な彼は「はる」のステージをクリアし、早々に「なつ」のステージに到達していました。
スピーカーからは陽気なサンバのリズムが奏でられます。しかも、これがゲームの音楽かと思う程高いクオリティ。(他機種版と比較しても圧倒的にゴージャスでした)

現金なもので、BGMが良いとゲームも全然違った感じに思えてくるから不思議です。
友人曰く、「人間、音から受ける影響は大きいんだよ。」との事。

うっでいぽこ X1
住民はワガママ。宝石箱を片手に持たせてみましょう。

この後、私がFM音源ボードの購入を心に誓ったのは言うまでもありません。

うっでいぽこ X1
最初のボス「ろどりげす」。

そして、彼から遅れること半年、我が家のX1ckの拡張スロット(FDD I/Fと併せて、スロットが埋まってしまった)にもFM音源ボードが搭載されました。

気持ちも新たにプレイしたゲームはやはりハードでしたが、次のBGM聞きたさに地道にプレイ。
ようやく「あき」のステージまで来た頃には、すっかりゲームの世界観にハマってしまい、その勢いのままに「ふゆ」「ゆうえんち」・・・と、ステージをクリア。無事エンディングを迎える事が出来ました。

うっでいぽこ X1
アイテムの使いどころも試行錯誤が必要。
迂闊な使い方をするとハマります。

ゲームをやり終えた感想は、感無量の一言です。
FM音源のお陰もありますが、投げ出したままにせずやり終えることが出来て良かったと思います。
中盤以降はぽこのPOWERも上がり、便利な武器も手に入るので(敵キャラも強くなるものの)ゴリ押しも出来、展開は大分楽になります。

結局、最初のステージが一番難易度が高かったような気がします。

自分も当初は投げ出したクチですが、この序盤のせいで「ク○ゲー」呼ばわりされてしまいがちなのは残念なことです。
残念ながらX1版ではないですが(2020年5月現在)ProjectEGGでも配信されているので、かつて諦めた方は、機会があればエンディング目指して再チャレンジしてほしいソフトです。

2020年5月18日月曜日

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ

はぐれ刑事旅情編?


北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
鉛色の空に流氷漂う海。
私の北海道に対するイメージ

北海道に行ってみたい・・・。

そう思うようになったのは、矢野徹先生の「カムイの剣」、東直己先生の「ススキノ探偵」シリーズ、そして、何よりこのゲーム「オホーツクに消ゆ」の影響に他なりません。

「社会派推理アドベンチャー巨編」と銘打たれた紙パッケージを電気屋(当時、地方はゲーム屋なんて無かったのだ)で発見した時、(タイトルは耳にしたことがあり、興味もあったのですが)おどろおどろしいイラストに一瞬、自分にはまだ早いんじゃないか・・・と、購入を躊躇しそうになりました。

パッケージ裏を見てみると、当時の水準ではかなり美しいグラフィックが掲載されています。

これは流石に某国民機のものとすぐ解りましたが、逆にMSXでこのグラフィックがどれだけ再現されるんだろう?と、興味が沸きました。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
グラフィックは、いかにもMSXというタッチ。

かくて我が家へやって来たこのゲーム。期待と不安の中ロードしてみたゲームの画像は、なんとも牧歌的な・・・というか、MSXらしいというか・・・。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
チラシを元にやって来た場所は歓楽街。

でも、ゲームを進めていくうちにに、このタッチがたまらなく好きになっていくのです。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
当時、高校生の私は少しドキドキ。

ゲームは、警部(ゲーム中はボス)である自分が相棒の刑事と殺人事件の捜査をするという内容。
アドベンチャーゲームとしてはオーソドックスと思うかも知れませんが、意外とそんな内容のものは当時は少なく(結局プレイしたことは無いですが、同じ作者のポートピア連続殺人事件ぐらいですか)、自分としても推理ものは初体験でした。

火曜サスペンス劇場か土曜ワイド劇場みたいな「お約束」が目白押しですが、当時高校生だった自分は、キャバレーに聞き込みに行ったり、ホステスを調べて「シャブのあとなどはありませんねぇ」なんて台詞にドキドキした覚えがあります。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
ついに被害者の身元が判明。いよいよ北の大地へ!

ゲームは5部構成になっており、序章ともいえる1部が終了すると、いよいよ北海道での捜査が始まります。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
ここも、実際にロケ地があるそうです。

また、このゲームは当時としては珍しく、実際にロケハンを行って作られたそうで、そのせいかロケ地を訪れているファンの方もネットに散見されます。特に、(PC-6001版やMSX版はさておき)PC-8801版のグラフィックは緻密で、実際の風景と比較して撮影スポットまで特定しているサイトもあるくらいです。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
実際の地名が物語に深みを与えています。

ゲームは、殺人という重いテーマにも関わらず、旅情感タップリで、堀井雄二先生の軽妙なシナリオと相まって、クリア後も周回プレイしたくなってしまいます。

このプレイし易さこそ、堀井先生が採用(発明?)した、「コマンド選択式」の恩恵に他なりません。

これは素晴らしいシステムで、専門用語が多い刑事物で、「ききこみ」とか「よべ だいいちはっけんしゃ」なんて、言葉探しを強いられていたら、第1部で事件が迷宮入りとなるプレイヤーが多く居た事でしょう。

このシステムのお陰で、プレイヤーはストーリーに没頭でき、制作者はよりテンポ良く、ドラマチックなストーリー展開が可能となるのです。これは、アドベンチャーゲームの可能性を広げ、やがて、「ジーザス」や「スナッチャー」のような名作を生むこととなります。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
ここまで来れば、事件解決も近い!語られる衝撃の真実。

「コマンド選択式」にも、あまり考えなくてもコマンドを総当たりするだけで、ストーリーが進んでしまうといった弱点があります。

無論、制作者もその点は予見していたようで、ゲーム中には、名前の入力をせねばならない箇所や、取るとハマってしまうアイテム等が巧みに配置されています。(かくいう私も、久々のプレイで見事に引っかかってしまいました)

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
単純に「コマンド総当たり」ではたどり着けません。
証言も、重要なものはメモった方が良いでしょう。

堀井先生はここで完成したシステムをもとに、更に遊び心タップリの「軽井沢誘拐案内」をリリースすることとなりますが、それについては、また後日お話ししたいと思います。

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ
いつか、即売所で「ニポポ人形」を買いたいな。

就職して、ようやく憧れの北海道に旅行は出来ましたが、行けたのは函館と、札幌(ススキノ)のみ。改めて、北海道って広いんだなぁ・・・と、思いました。

老後になるかも知れませんが、いつか自分もロケ地を巡ってみたい・・・と、今でも密かに思っています。