2014年5月28日水曜日

ハイドライド

人生初のRPG!

ハイドライド X1
マップを構成するパーツを感じさせないグラフィック。

X1版ゼビウスも少々食傷気味になって来た頃、雑誌の広告に衝撃のソフトが掲載された。
T&Eソフトの「ハイドライド」だ。
当時、アーケードで名を馳せていた「ドルアーガの塔」を彷彿とさせる画面下のアイテム。見慣れぬ画面右のパラメーター群。そして何より、これまでのゲームの常識を覆す美しいグラフィック。
広告には、PC-88版とX1版、両方の画面写真が掲載されていたが、PCG機能を駆使して描かれたX1版のそれは、飛び抜けて美しかった。更にX1版では、このクオリティーで全方向スクロールするという。まさに、パソコンでしか味わえない、夢のソフトである。

というわけで、即決で購入を決心し、発売を心待ちにしていた私だが、ここで引っかかるワードがあった。
「RPG」
正確に言えば、「アクティブ・ロールプレイング」というジャンルのゲームらしい。
ゲームといえば、アクションかシューティングしかプレイした事のない自分にとって、RPGは未知の世界である。
ましてや、それがアクティブ???
内容は、果てしなく面白そうなのだが、本当のところはどうなのか?
実際に手にするまで、一抹の不安が拭えませんでした。

ハイドライド X1
画面は様々なモンスターで満ちあふれ、結構賑やかです。

無事ソフトも入手し、ファンタジックな雰囲気タップリのパッケージを開け、X1ckのテープレコーダーへセット。
残念ながら、FD版にある美しいオープニングCGは無かったですが、ゲーム内容はFD版と変わりありません。全てオンメモリで、さり気なくT&Eソフトの技術の高さを感じさせます。

雑誌広告には、モンスターも配置されていない開発中の画面が掲載されていたので、ゲームは少し寂しげで、神秘的な世界を主人公が冒険する話か?・・・と、勝手に想像を膨らませていたのですが、いざスタートしてみると、明るめのBGMに平原にはスライムがわらわら、森の中には真っ赤なタイツに身を包んだ(?)コボルドが所狭しと跋扈するという、意表を突いた賑やかな世界。

ぼやっと眺めていると、画面がかすかに明滅を始めます。
見れば、知らないうちにスライム君が主人公の背後に忍び寄り、つんつん突っついて居ます。
あっ、と思ってパッドを拾う間もなく、ファーストプレイの主人公は昇天してしまいました。

なんという脆弱な主人公。こんなんで世界が救えるのでしょうか?

落ち着いてマニュアルに目を通し、プレイ再開。スライム・コボルドを中心に攻撃をしてゆくと、徐々にEXPのグラフが上昇してゆきます。満タンになった時点でLIFEとSTRゲージが少し上昇。倒す為には何回かヒットさせなければならなかったスライム達が、触れるだけで倒せるようになりました。
これがRPGというものなんだな~と、しみじみ感じさせてくれる瞬間です。

ハイドライド X1
最初の関門、ドラキュラです。そんなに難しくはありません。

ゲームは初期のゲームなので、基本的にノーヒントです。
住民はどこかへ避難しているのか、フェアリーランドではモンスター以外見かける事は無く、誰とも会話出来ません。
こうしてみると難しいゲームのように思われるかも知れませんが、ゲームデザインが秀逸で、丁度倒せるレベルの敵が居る場所に、次のステップに必要なキーアイテムが配置されていたりするので、意外と詰まることなくゲームが進行してゆきます。

むしろ、後半戦は、弱いものいじめをしたときにフィールドに出現する、タコやウイスプに手を焼く事となります。
出現させたら最後、永遠にフィールド上を追いかけてくるので、休むこともままなりません。

ラストダンジョンに挑戦する頃になると、いつしか川も干上がり、美しかったフィールドは地獄絵図のようになってしまいます。
救出したアン王女がこの世界を見たら卒倒してしまいそうです。

ハイドライド X1
美しかったフィールドは強力な魔物の巣窟に・・・。


今回、ブログを制作するにあたり、久々にエンディングまで通しでプレイしてみましたが、今やってみても新鮮な感動があります。

特に、全方向スクロールするハイドライドは1~3のなかで、このX1版の初回作のみなので、他機種版しかプレイした事のない方は、是非チャレンジしていただきたいと思います。(現在ではProject EGG等でプレイ出来るみたいなので・・・)


私のように、この作品で初めてRPGというものに触れ、その世界観にはまっていった方も多いのでは?と思います。

極限まで難しい部分をそぎ落とし、軽快なアクションゲームと掛け合わせたゲームデザインは、今後のパソコンRPGの方向性をも変えてゆくこととなります。

アクションが苦手なパソコンで、アクションRPGの文化が花開き、その逆のファミコンで本格RPGブームが訪れたのは面白い現象でしたけど・・・。