2014年8月11日月曜日

ザナドゥX1(テープ版)

奇跡!

ザナドゥX1(テープ版)
夢にまで見たあの画面が自分のパソコンで!

奇跡が起こった。
人は、実現不可能と思われたものが、可能となった時、本当に感動する。

80年代半ば、パソコンゲーム界は、熱狂に包まれていた。
現在(2014年)にいたるまで、販売記録(・・・といっても40万本くらいらしいが)を抜かれた事がないとされる、パソコン界空前のヒット作。
「ザナドゥ」の登場である。

メーカーは、いまもコンシューマー・PC界で活躍する老舗、日本ファルコム。
私の知る当時は、「ドラゴンスレイヤー(1)」なども発売されていたが、「デーモンズリング」「アステカ」や、アダルトゲームなんかも売ってる、ソフトハウスでもありました。

そんな、ちょっとチェリーボーイが手を出しづらい雰囲気(失礼)を発していたソフトハウスから、突然アナウンスがあったのが、「ザナドゥ」である。

ザナドゥX1(テープ版)
王様に謁見。FD版と比べて画面が小さいです。

前作、ドラゴンスレイヤーに比べ、圧倒的に洗練されたグラフィック。
よく見れば、少ない色数で表現されている事がわかるが、プレイ中は、まったくそんな事を感じさせない。それどころか、統一感のある雰囲気を作り出すことに一役買っている。
プレイヤーキャラクターは装備品によってグラフィックも変化し、様々なバリエーションを楽しむことが出来る。
世界は10の階層からなるマップで構成されており、更に、それぞれのマップに複数のタワーが存在し、中を探索出来る。
敵キャラクターもバラエティに富んでおり、素早いヤツ、魔法を使ってくるヤツ、倒すとカルマが上がるヤツ、果てはデカキャラとプレイヤーを飽きさせない。
しかも、これらが非常にテンポ良く展開し、アクションRPGとして高い次元で成立させている。

時代を一歩も二歩も先取りした、まさに「夢のソフト」と呼ぶにふさわしい内容だった。

ザナドゥX1(テープ版)
ショップ画面はちょいと寂しい。
プレイに支障はありませんが・・・。

雑誌の広告を、穴が開くほど眺めながら、期待とは裏腹に、ある不安が首をもたげてくる。

「このソフトって、フロッピー専用では・・・?」

コンシューマー機でも大容量の光メディアを扱うことが出来る現在と違い、当時のパソコンの媒体の主流は磁気メディア。
しかも、テープかフロッピーディスク。
更に言ってしまえば、X1がもう一台買えてしまう位の値段がするフロッピードライブなど、学生の身で手にするのは、夢のまた夢であった。(親パワーで、軽くX1turboとか、88SRとかを買ってもらっているヤツも居るには居たが・・・。)

案の定、先陣を切って発売されたX1版に、「テープ」の文字は無く、月日の経過と共に、テープユーザーの間では、諦めムードが漂っていた。

ザナドゥX1(テープ版)
隠しアイテムショップもちゃんとあります。
まさか、こんな所にあったとは・・・。

そんななかの「テープ版発売!」のアナウンスである。
まさに晴天の霹靂!
古い言い方をすれば、盆と正月がいっぺんに来たような大騒ぎである。(自分的にはだが・・・。)

手に入れたパッケージはズッシリと重たく、中には2本のテープとぶ厚いマニュアルが封入されていた。
マニュアルはゲームの説明にくわえ、モンスターについての解説が載っており、読み物としても十分楽しめる内容。何度も読み返したせいで、ゲームクリア時にはボロボロになっていた。


ザナドゥX1(テープ版)
モンスターのシンボルとぶつかると戦闘画面に。
数が多いとびっくり。

さすがにテープ版なので、ゲームを始める前のユーザーテープ(テープC)作成は、マジで1時間程かかりました。

しかし、実際のプレイ時は、X1のカセットレコーダーの読み込みの早さもあって、そんなに気にせず、みんな遊んでいましたね。

ネタで、ゲーム開始に1時間・レベル移動に1時間・デカキャラと遭遇して1時間なんて記事を目にする事がありますが、実際にはそんな事はなかったと思います。(テープが基本だったので、慣れで時間の経過に鈍感になっていたのもありますが・・・。)
各レベルはオンメモリなので、装備を変更(デフォルト設定は外見が変わらない様になっており、装備を変えてもロードは発生しません。・・・でも、みんな変更するモードで遊んでいました。)したり、デカキャラに遭遇しない限りロードが起こらないので、通常のプレイはこの上なく快適で、ゲームに集中する事が出来ました。

ザナドゥX1(テープ版)
デカキャラもちゃんと居ます。
背景が少々さみしいですが・・・。

結局テープ版は、X1特有の機能であるAPSSをフル活用したゲームであった為、他機種で発売される事もなく、また、続編であるシナリオ2のテープ版が発売される事もありませんでした。

ただ、限界にチャレンジしたファルコムの侠気。それを可能にしたプログラミングの素晴らしさは今更ながらに唸らされます。

単なるネタとして語られがちですが、X1のテープユーザにとっては、外すことの出来ない思い出深いソフトです。