2025年6月22日日曜日

戦国ソーサリアン

 歴史は俺たちになにをさせようとしているのか?

ソーサリアン」のリリース後も、流石は老舗のゲームメーカー「ファルコム」。

ちゃんと、「追加シナリオvol.1」1本と、「ユーティリティ」1本をリリースしてくれた。(注1)



「ユーティリティ」は予め魔法の掛かった武器を購入出来たり、また、猛烈な時間を要していた魔法を掛けるとう行為が一瞬にして出来たり、キャラクタやアイテムの名前を(ローマ字・カタカナ・ひらがな交じりに)変更(注:2)出来たりと地味によく使う機能と、クイズ・お便り・すごろく等普段そんなに使用しない項目とかがありました。

自分的には「BGMを聞きたい」で、ミュージックモードみたいに、各ディスクの全BGMが聞けるのかと思っていたけど、未使用曲が数曲しか入っておらず、少々残念に思いました。



追加シナリオも、別売りで「1ディスク」分、計5本入っておりますが、もう既に不老不死化しているキャラに対して、今更LV1~5迄のシナリオ。
内容は、本当に良くできた「お手本」の様なシナリオで、購入初日で全シナリオクリアしてしまいました。
やはり、残念ながら印象も薄く、記憶に残っているのは「アマゾンの剣」くらいですかね。

こんな感じで、「基本シナリオ」で遊ぶ機会ばかりが増えた我が家のソーサリアン。他のゲームのようにこのままフェードアウトかと思いきや、ファルコムさんがまたもやってくれました。

ある日のパソコン雑誌の広告ページにデカデカと、追加シナリオ第2弾の広告が!!

タイトルは超シブく、「戦国ソーサリアン」!
往年の「〇川映画」を彷彿とさせる魅力的なタイトル!



ゲームもズバリ「戦国時代」の日本が舞台で、大河ドラマ等で良く耳にする武将たちがそれぞれテーマとして描かれています。一章は「武田信玄の章」とかですね。

また、前作で不満を感じた人も居ると思いますが、不老不死キャラを使用しているプレイヤーに対するゲーム内でのレベル問題。(我が家に来ているプレイヤーは、ほぼ「それ」でしたね。)
こちらは全5シナリオのレベルを5とするなど様々な難易度調整が今回意欲的に取り組まれています。(私的には次作の「ピラミッドソーサリアン」より難易度は高いと感じました。)

しかし、この和のテイストを纏ったシナリオ群。

実際、「ソーサリアン」との親和性はどうなんでしょうか?
入手して、プレイに到る迄には一抹の不安もありました。

プレイした感想は・・・
・・・
・・
「Susi屋のカリフォルニアロール」の如く!
抜群のテイストでした。

では、ほんの触りである第一章「武田信玄の章」をプレイしてゆきましょう。

時に、元亀3年(1572年)、上洛を目指す武田信玄は遠江に侵攻。
織田・徳川連合軍と「三方ヶ原」にて対峙します。



遙か遠い島国「日本」にて何やら禍々しい波動を感じた「ペンタウア」の魔導師は王にこれを進言します。
かつて世界の危機を何度も救って来た王は熟慮の上、現在は予備役として「農業」を営んでいた、ソーサリアン3名を現地へと派遣することとしたのでした。

時に日本は数多くの武将達が割拠する「戦国時代」。
この島国の「王」になるべく、国全体に戦の火の手が上がっている・・・。
そんな時代でした。

ゲームを開始すると織田・徳川連合群が大敗した後の「三方ヶ原」戦場に出ます。

多くの死体が累々とするなか、まだ息がある人を発見。話をしてみると織田軍家臣の「タキカワ(滝川一益?)」さんと言われる方でした。
一応、応急措置はほどこしたのですが、これ以上の治療には「薬」が必要ということで、その場を一旦離れます。


先に進むと廃屋がいっぱい。
この辺りの村々は、戦に巻き込まれたんでしょうか?

暫く進むと一軒の家から赤ちゃんの泣き声が。
家を覗いてみると、赤ちゃんを抱え逃げ遅れた一家が食料を求めて来た・・・が、こちらも持ち合わせが無いので、とりあえず他へ。


先に進むと、噂の武田軍の陣が。
中に入ろうとすると当然の如く追い返された。


さらに先に進むと、「山伏」が道端にうずくまっていた。
聞けば、森の中に根城を持つ山賊に身ぐるみ剥がされたらしい・・・。
また、近隣の村々も酷い被害にあっているとか。
かたや戦・こちらは山賊。
まあ、領主様は武田に攻められて、山賊退治どころではなかろうし・・・。
「世も末」ってヤツですね、でも、ここは我々「ソーサリアン」の得意とするところ。



森の中の「目印」を頼りに山賊の根城を見つけ出し、逆に襲撃してやりました。
親分は多少骨があったけど、所詮は食い詰めた侍くずれ。
ソーサリアンの敵ではありません。


建物の床下から、「山伏の荷物」。いつものクセで建物付近の薬草「ベルベーヌ」を回収していたら、根元に「鍵」が埋まっていました。


途中の村に身を寄せていた、山伏に荷物を返すと「魔除けの御札」を。


地頭さんに山賊討伐の報告に行くと、三方ヶ原の家族へ、「お米」を頂けました。
実は、偶然その家の旦那さんが薬の調合で名の知れた方だったとのことで、先程山賊の根城で偶然手に入れた「ベルベーヌ」を使い「傷薬」を作って貰うことに。
調合したそれを持って、シナリオの最初で手当てをした「タキカワ」さんの所へ。




傷が治った「タキカワ」さんは、感謝の印として「家紋入りの小刀」をソーサリアンに与え、再会の際の合図(注:3)まで決めて去ってゆきます。

・・・
・・
おっと、気付けばもうこんな時間・・・。
次回は、この「武田信玄の章」のクライマックスと、総評を書いておひらきとしたいですね。

では、また。

※丁度、四半期の決算に入りますので、ちょっと投稿が遅くなるかもですが、気長に待っていただければ幸いです。



注1:当時でもゲームの拡張や、今後の構想について、熱く語るクリエイターさんは少なくありませんでした。
しかし、大きな風呂敷を広げるほど、当時の小さな会社・小さなチームで、収益の小さくなりがちな追加パックを発売できるかは微妙でした。

当時の私ですら話半分に思っていた程です。


注2:「ぎんのつるぎ」→「げどくのつるぎ」とか、咄嗟に解りやすい名前にすると良いでしょう。

注3:厳密に「いしを2つ」ではなく、こちらはフラグ管理で「前章」をクリアしていないと「石を置く」という行為自体が発生しません。
また、途中で「ピラミッドソーサリアン」等、他の「キャンペーン・シナリオ」をプレイしてしまっても履歴が消えるそうで、注意が必要です。

2025年6月10日火曜日

PC-98エミュレータ np21w(2)

 やはり「ポリスノーツPC-9821版」は最高だった!



エミュレーターの制作者様。

当時のゲーム開発者の方々。

そして小島監督。

全ての方に「ありがとう。」と言いたい。


遅くなりましたが、np21wを使用し、通しでクリア出来ました。(動作は良好でした!)


「スナッチャー」に続き、自分もかなり思い入れのあるゲームです。

そして、娘や息子(彼らがプレイしたのはPSのアーカイブ版ですが)、普段、ドンパチがあるゲームには否定的な妻まで、大画面の前で感動を共有出来た希有なゲームです。



今回、さらっと触りだけプレイするつもりが、気付けば仕事から帰ってPCの前に座るとエミュを立ち上げ、がっつりとプレイしている自分がいました。

やはりパソコンならではの美しい解像度。

CD-Romによる声優さんの素晴らしい演技。

全体的なグラフィックの統一感。

そして、PC-9821版の面白い所は、PC-エンジンの「スナッチャー」を彷彿とさせる「画面外の顔芸」ですかね。

でも、一週するとちゃんとPSみたいにちゃんとセリフモードも選ぶ事が出来、ゲームワールドをより深く知る事ができるのです。

実は完全な再現度となるまで「封印」していた当ゲーム。

もう一度プレイする機会を得られるとは思ってもいませんでした。

エミュレータの作者の方には重ねて御礼申し上げます。

お陰で、久々に「ポリスノーツ・ロス」を味わうことが出来ました。

また、ゲームレヴューにて語ってゆく事となる予定ですが、こちらはもう少し時間をいただきたいと思います。

では、また。



※都合上、「エミュレータ」に関する質問には一切お答えしておりません。
※また、メーカー純正ソフトではないので、導入は自己責任でお願いします。

2025年6月7日土曜日

ゴーファーの野望 episodeⅡ(2)

 ある日、どこかで・・・


ガウディ 「(1)よりの続きです。」






デヴィット「誰だよ?」

ガウディ「申し遅れました、今回の貴方の旅のお供を致します、量子コンピューターの「ガウディ(注1)」と申します。AI機能搭載で、この「ヴィクセン」の運行全般、退屈な際の話し相手から写真の加工、「ネオ・コウベ・シティ」のギブスンの娘「カトリーヌ」の3サイズまで、何でもお答えします。」

デヴィット「最後の「カトリーヌ」のくだりが意味分からんのだが・・・。」

ガウディ「「スナッチャー」をプレイしてみればよく解ります。」

ガウディ「おっと、閑話休題です。」


デヴィット「特異点か・・・。何も起きんな・・・。」

ガウディ「こちらは所謂「出口」です。変動重力源は他にあるかと・・・。」


ガウディ「「カイパーベルト」です。「短周期彗星の起源」と云われるだけあって、凄い数ですね。」

デヴィット「どわわ~!」

ガウディ「それにしても空間の歪みがひどいですね・・・。こ、これは!」

デヴィット「「ブラックホール」だ!!引っ張られる!!」

ガウディ「気を付けて下さい。飲み込まれたら例の「特異点」からやり直しですよ。」



デヴィット「ふーっ、どうにか切抜けたか・・・?」


デヴィット「一つだけダミー(星を吸い込んでいない)のブラックホールがあって、武装も貰ったしな!」

ガウディ「今回は、前作と違って分かりやすいですね。おやっ!」

デヴィット「どうした?」



ガウディ「奴らの動きが変です!通常空間から消えて行きいます!」


ガウディ「正確には時間移動しています!!」

デヴィット「ンなアホな!」

ガウディ「移動先を予想します・・・出ました。「グラディウス歴」6644年1月!狙いは、当時3歳のジェイムス・バートン(後のラーズ18世)の誘拐・および殺害です!」(注2)

デヴィット「所謂、「親殺しのパラドックス」(注3)って、ヤツだな。馬鹿な・・・結局これは、「時間遡行は不可能である。」と、同義なのに・・・。相対性理論(注4)を知らないのか?」

デヴィット「うん?どわわわわわわわわっ!」

ガウディ「大変です!奴らを阻止せねば!我々も後を追いましょう!」

デヴィット「あのー、ガウディさん、さっきの俺の話、聞いてなかった?」「それにこの機体に、そんな機能は搭載されてなかったかと・・・。」

ガウディ「途中にあったブラックホールを使用します。あとは、私が「根性」で、どうにかしますよ!

デヴィット「そんな・・・根性って、映画の「ある○どこかで」(注5)じゃ無いんだから・・・。「ブラックホール使って」とか、もっともらしく聞こえるけど・・・入ったら死ぬから!確実に!!

ガウディ「計算完了!時間がありません!行きます!」

デヴィット「あーれぇぇぇぇ・・・・・・。」




ガウディ「着きました。ただ・・・超空間で過去の敵からの干渉があり、到着が半年ほど後になっちゃいました。」
デヴィット「はあはあ・・・嘘つけ!コレって絶対、別の「世界線」(注6)だろう!!
ガウディ「敵に半年の猶予を与えてしまったんで、我々への歓迎の準備はバッチリみたいですね。ふふっ・・・腕が鳴ります!」
デヴィット「お前、何か楽しんでないか?」




デヴィット「何か、「マップ」って出たけど・・・これは何だ?」
ガウディ「3つ集めるとジェイムスの幽閉先が解るとか・・・じゃあないんですかねえ?」



ガウディ「ホントに分かっちゃいました。光の3原色に対応した座標のマップで、3つ揃わないと駄目だったようですね。」
デヴィット「・・・小学生向けの学習雑誌の付録みたいな地図だな・・・ま、まあいい、これでこんな時代とはおさらばだ、とっとと救出して、元の「世界線」に帰るぞ!」(注7)
ガウディ「いや、バクテリアンはどうするんです?」
デヴィット「ふっ、ヤツらを出し抜いて、先に帰って「特異点を」塞いじまうのさ!」


デヴィット「仮死状態だったけど、ヒイじいちゃんも大丈夫みたいだな。」


デヴィット「よっしゃ!」「無事帰宅っと!」
デヴィット「・・・あ、いえ、お土産とかホントイイですから・・・。」
デヴィット「もう、ホント気にしないで下さい。」

ガウディ「何やってんですか!!」

デヴィット「いやあ、ご家族の方にエラく喜ばれて、「飯食って行け」だの「泊まって帰れ」だの・・・挙げ句の果ては「土産だ!」とか・・・。」
デヴィット「よっしゃ!帰ろう!」
ガウディ「もう、緊張感無いんだから・・・行きますよ、タイム・ワープ!!」
・・・
・・
ちゅどーん!!

デヴィット「なっ、何だ!?」
ガウディ「何処からか攻撃を受けています!」
デヴィット「ニュートン力学の通用しない空間だぞ!レーダーも使わずにどうやって!?」


ヴェノム「ハハハ、わたしヲむしスルトハナ!しネ!!」
デヴィット「あ、コイツ歴史の教科書で見たことあるぞ。確か「ベンジョ」ってヤツじゃないか?」
ヴェノム「ヴェノムダーッ!!」
デヴィット「うわーっ!!」


デヴィット「おい・・・。」
ガウディ「はい?」
デヴィッド「大体、お前が釣られて、出来もしないのに「時間遡行」なんかするから・・・。」

ガウディ「申し訳ありません。ついカッとなって・・・。まあ、どうにか帰って来られたんで良かったじゃないですか。」
ガウディ「あのぅ・・・時間も長くなりましたので、総括をお願いします。」

デヴィット「お前、絶対、俺の事バカにしてるだろ?」

デヴィット「まぁいい・・・以前、「沙羅曼蛇」の時に「難しすぎる」と、叩かれたからか、今回の難易度はそう高くないと思うぞ。」

デヴィット「ただ、今回はオリジナル要素が強すぎて、今一つ「ゴーファーの野望」をプレイしている感じがしなかったなあ・・・。

デヴィット「「沙羅曼蛇」でも、100%は無理だが、どこまで再現出来て、どこまで理解してもらえるかチャレンジしてみようという気が、ビリビリ感じられた様な気するんだがなぁ・・・。

デヴィット「ファミコン版「グラⅡ」がアレンジを加えた良移植だっただけに、「MSX版がどう来るのか?」って期待があったけど、別のシューティングのラストに「ゴーファー」を入れたような感じになってしまい、ちと残念。」

デヴィット「まっ、結局、面白い事に違いはないけどね。

ガウディ「妙に詳しいですねぇ・・・まあ、次回こそ、無事「帰還」して「エンディング」を見せて下さいね!」

デヴィット「うっ、ろ、ロックでもやりながら考えるよ。」


・・・
・・
その頃


ゴーファーさん「今日も、誰も来なかった・・・。」(注8

注)この物語はフィクションであり、よく似た名前の人々が登場しますが、㈱コナミ様制作の「グラディウス」シリーズとは、一切関係ありません。



(注1):「スナッチャー」に登場する人工知能コンピュータも同じ名前である。

心なしか画面も似ている。

(注2):ゲーム中の表記は「殺害」だが、実際には「誘拐」されている。

(注3):タイムトラベルにまつわる有名なパラドックスで、平たく言えば「時間を遡って自分が生まれる前の親を殺す事は、自分自身が生まれてこなくなるため出来ない。」イコール、「時間遡行は不可能。」という論理的パラドックスである。

(注4):理論上、過去へは遡行出来ないが、未来へは可能である。この理論を上手く使った作品では、「猿の惑○」「トップ○ねらえ!」等が有名。

(注5):○ーパーマンの○リストファー・リーヴ主演の傑作ファンタジー。ホテルの肖像画の美女に恋した青年が、強い思いで時間遡行してしまうお話。

(注6):物理的では無いが、ノベル系のゲームの選択肢のような概念。タイムパラドックスの回避に良く使われる。物事を「事象」として捉え、この場合だと過去へと遡行した時点で「過去へ行った世界」・「元の世界」が、パラレルワールド的に発生している。「○ラえもん」の「○しもボックス」が概念としては凄く近い。

(注7):ゲームではそういう事は出来ません。がっつりとラスボスを倒してからジェイムス救出となります。

(注8):昔「ベーマガ」か何かの読者投稿欄に描かれていたマンガのネタです。当時凄く面白かったので、ここに再現させて頂きました。

2025年6月4日水曜日

ゴーファーの野望 episodeⅡ


「ジェイムス・バートン」死す!



ラーズ18世の崩御より約100年(グラディウス歴)。



曾祖父(ジェイムス)の影響で、軍学校に入った俺は、親父には発現しなかった高い「リークパワー」を認められ、かつて曾祖父も在籍したという宇宙軍への入隊を果たした。

77歳という我々の高度な医療技術をもってしても早すぎる死は、陛下の生きた激動の時代を物語っているようであった。

よく、父や母が語ってくれた曾祖父の伝説を思い浮かべ、主星グラディウスへのシャトルに揺られていた。




そう、それは一人の戦士の物語。



一介の兵士から、スペースファイターのパイロットとなり、第一次バクテリアン戦争ヴェノム反乱サラマンダ軍襲来(第二次バクテリアン戦争)と現在の平和の礎となった戦いではいつも彼の姿が天駆けるスペースファイターと共にあったという。




折しも第二次バクテリアン戦争より百年、今年は18世の子孫としてではなく、宇宙軍関係者として「平和式典」に参加できる。

式典が終わり、久々に両親の住む実家へと引き返そうとした私を、見知らぬ男性が引き留めた。

「デヴィット・バートンさん?」

「はい?」

「ラーズ18世に大変お世話になっていた者です。」

曾祖父の影響もあり、軍関係の猛者達には割と顔の利く方だが、見覚えが無い。顔立ちも「制服組」というより、「背広組」といった感じか?

「どうです?この後?」と、男はグラスを持つジェスチャーをする。


「18世も、酒にはうるさい方でして・・・。」

訳知り顔で語る男。通されたバーは割と落ち着ける雰囲気の良い店だった。

「長寿保証遺伝子ですか?」

「平和を得て百年の時が経ちましたが、当時の記憶も失われつつあります。」

「・・・。」

「なかなか、楽にはなれませんな。」

所謂、「不老不死(メセトラーゼ)」というやつだ。掛かる費用も莫大なため、政府でも一部の「要人」しか施されていないというが、それを差し引いても必要な才能の持ち主なのだろう。

「18世の時は宇宙軍でしたが、現在は諜報部でして」

おもむろに男が端末を差し出す。

「我々の恒星系のエッジワース・カイパーベルト周辺。映像は2日前です。」

画面は大昔の「ビデオゲーム」の様な漆黒の宇宙。が、刹那、空間が歪む。

「特異点です。」

突然、空間一杯に爆発のようなものが・・・。いや、これは!

「人工太陽です。」




「!!」

「おそらくバクテリアンの。」

「軍は、どうなっている!」

「もちろん、特異点が現れた時点で、スーパーサーベルタイガー・スーパースラッシャーの二個大隊を偵察に出しました。・・・隊員は全員「二階級特進」となりましたがね。」

「!!」

スーパーサーベルタイガー・スーパースラッシャーといえば、宇宙軍の誇る主力スペース・ファイターだ。

「多くの貴重なパイロットの命と引き換えに、得られたのがこの「映像」と、敵の通信の一部を解読した「ゴーファー」という言葉のみです。」

「くっ、しかし、どうする!?」

「VIXEN(ヴィクセン)。」

不適な笑みを浮かべて確かに男はそう言った。





全身が総毛立つ心地だった。

「24時間以内に発艦可能です。」

「しかし、予算の削減のための妥協案として、サーベルタイガー・スラッシャーの改修にとどまったのでは?」

「それは、「戦争」を知らぬ政治家のタワゴトですな。」

「では行きましょうデヴィット!アナタの乗機が待つ秘密基地へ!」

「おおっ!ついにあの機体に乗れるのか・・・って、おい!!

「シリアスっぽいストーリーでついつい、俺もノッちゃったけど、何でパイロットが俺って決まってんだ?」

「ジイちゃんや、親父、お袋に良く言われたっけ。曾祖父である「ラーズ18世」は、所謂「お調子者」で、人から担ぎ上げられたり、若い女の子にキャーキャー言われると、ついつい酷いミッションでも出撃していたって!」

「で、余りに無茶な作戦過ぎて随伴機も付いて行かず、ワンマンアーミー状態で、気付けば敵地。命からがら根性でミッションクリアし帰還すれば、持病の痔は再発するわ、リークパワーをマシンに吸われ、抜け殻の様になるわ・・・。」

「曾祖父が早死にしたのも、その所為だと親父やオフクロが言ってたぜ。」

「後宮・・・。」(ボソッ)

「うん?」

「後宮です。何故、アレほどの劇戦地へ皇帝は向かわれたのか?使命感?正義感?・・・違います。」

「解りますか?「ラーズ20世」・・・いや、将来の陛下!

「陛下・・・。俺が・・・。」

「いいですか。皇帝になった暁には、妙齢の美女揃いといわれている「後宮」も貴方のものとなるのですぞ!」

「妙齢の・・・美女・・・、揃い・・・。」

俺の心の中で何かが弾けた。



「何をしている!行くぞ!」

「おおっ?」

「バクテリアか・バイ菌か知らねえが、俺とヴィクセンの敵じゃあねーぜ」

オラオラオラ!!

出撃だぁっ!!


・・・

・・

「・・・行ったか?」

「はっ」

「まさかこうも簡単に堕ちるとはな。高い金だったが、貴様を生かしておいて正解だったよ。」

「はっ、光栄であります!」

「これで予は、この重責と、後宮の婆さん共から解放される。心から礼を言う。」





「ありがとうございます「皇帝陛下」!いえ、「ラーズ19世様」


(2)へ続きます。


注)この物語はフィクションであり、よく似た名前の人々が登場しますが、㈱コナミ様制作の「グラディウス」シリーズとは、一切関係ありません。